囲碁の井山氏、将棋の羽生氏が国民栄誉賞! 過去に紫綬褒章は21人
1月5日。囲碁の井山裕太七冠(28)と、将棋の羽生善治竜王・棋聖(47、永世七冠資格保持者)の国民栄誉賞受賞が発表されました。両者はそれぞれの分野における現代の第一人者。囲碁界、将棋界、どちらにとっても、初の同賞受賞者の誕生となります。
奇しくも1月5日は、囲碁の日です。その由来は、「いご」の語呂合わせでわかりやすい。一方で、将棋の日は11月17日。これは江戸時代、囲碁と将棋の対局が、江戸城において披露された、御城碁、御城将棋の日にちなんでいます。
囲碁の1世名人・本因坊算砂と、将棋の1世名人・大橋宗桂は、戦国時代から江戸時代始めまで、同時代を生きた人でした。算砂は将棋の達人でもあり、宗桂と将棋を指した棋譜(対局の指し手の記録)も残されています。
算砂と宗桂は、徳川家康から同時期にその技量を認められました。以来、囲碁と将棋の高位者には、幕府から扶持が与えられています。そして現代に至るまで、囲碁界と将棋界は兄弟の関係であり続けてきました。今回の同時受賞も、その関係を反映したものと言えるでしょう。
日本棋院と日本将棋連盟には、両者の声が掲載されています。
【井山裕太七冠】
この度、国民栄誉賞を受賞させていただく事となり、大変光栄であるのと同時に、身の引き締まる思いです。
棋士としてまだまだ発展途上の自分がこのような賞をいただいて良いのかという思いはありますが、今後に期待していただいているものと理解しております。
少しずつでも前に進んでいけるよう、これからも誠心誠意、囲碁に向き合っていきたいと思います。
http://www.nihonkiin.or.jp/news/release/post_708.html
【羽生善治竜王】
大変に名誉ある賞を頂き、驚きと共に身が引き締まる思いです。将棋界の先人の方々が長年に渡って築いて来られた歴史の継承が有ったからこその選考と受け止めています。また、現在進行形で囲碁の進化と記録を作り続けている井山さんと同時の発表に縁を感じました。私も井山さんの独創性溢れる棋風にあやかりたいです。今後も協力をして伝統文化の世界を発展させ、時代を担う世代にも伝えて行ければと思っています。棋士の道は途方もなく長いので今回の受賞は今後の道のりへの激励も含まれていると考えています。いつも温かく応援し、見守って頂いているフアンの皆様に厚く御礼申し上げます。
https://www.shogi.or.jp/news/2018/01/post_1633.html
現代の囲碁・将棋界では、業績が顕著な人々に、勲章・褒章が授与されてきました。その代表的なものが、1955年に制定された、紫綬褒章です。紫綬褒章は、現代の規定では、「科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方」に贈られることになっています。
過去に紫綬褒章を贈られた棋士は、囲碁10人、将棋11人。その名をよく知られた、一流棋士ばかりです。年代順にリストアップすると、以下の通りとなります。(○=囲碁、▲=将棋)
○瀬越憲作(1958)
▲木村義雄(1960)
○鈴木為次郎(1960)
○木谷 實(1965)
○岩本 薫(1967)
▲升田幸三(1973)
○高川 格(1974)
▲塚田正夫(1975)
▲大山康晴(1979)
○坂田栄男(1980)
○藤沢秀行(1987)
▲二上達也(1992)
▲加藤一二三(2000)
▲米長邦雄(2003)
○大竹英雄(2004)
○林 海峰(2005)
▲中原 誠(2008)
▲谷川浩司(2014)
○石田芳夫(2016)
▲佐藤康光(2017)
▲森内俊之(2017)
参考ページ
日本棋院:https://www.nihonkiin.or.jp/profile/enkaku/jyokun.html
日本将棋連盟:https://www.shogi.or.jp/news/2017/11/post_1609.html
多くの先人の活躍があって、囲碁、将棋界は、現在の隆盛を迎えていると言えるでしょう。
井山七冠、羽生竜王ともに、現役の頂点。今後のますますの活躍が期待されるところです。そして、両者に続いて国民栄誉賞を受賞するようなスーパースターは、この先現れるのか? 果たしてそれは、誰なのか? 今から予想してみるのも、一興かもしれません。