白人警官に命を奪われ続けるアフリカ系アメリカ人。NFLスーパースターの主張を無視したアメリカ
多くの問題を抱える大国、アメリカ。人種差別はアメリカが抱える問題の中で最も闇が深く、これまでにも多くの対立を生んできた。
1861年に始まった南北戦争は奴隷制存続が対立の原因だったし、アフリカ系アメリカ人公民権運動の有力指導者だったマルコムXやマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師はともに暗殺されている。
1992年のロサンゼルス暴動以降は、白人警官による黒人への過剰な暴力事件や殺人が相次いでいる。
2016年8月にはNFL、サンフランシスコ・49ナーズのスター・クオーターバック(QB)、コリン・キャパニックが試合開始前の国歌斉唱時に起立を拒否したことが国家的問題にまで発展。
「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない。私にとってフットボールよりも大切なことで、見て見ぬ振りはできない」とキャパニックは国歌斉唱時に片膝をフィールドにつく姿勢を続け、複数の選手たちが同じポーズで人種差別撤廃を願うキャパニックをサポートした。
「例え、フットボールを取り上げられたり、選手資格を奪われたりしても、私は正しいことのために戦う」とキャパニックは信念を貫いたが、2014年シーズン開幕前に6年総額1億2600万ドルでキャパニックと再契約を結んだ49ナーズは、2016年シーズン終了後に彼を解雇した。
2013年シーズンには49ナーズをスーパーボウルに導いたキャパニックはフリーエージェントとなったが、政治的主張の強いキャパニックと契約を結ぶチームは現れず、警官による人種差別的な暴力行為がなくなることを願った彼はアメフトをプレーする場所を失った。
キャパニックがNFLから追い出されてから3年が経つが、アメリカでの警官による有色人種への暴力行為や殺人はまだ続いている。
今回ミネソタで黒人のジョージ・フロイド氏が白人の警官に殺された後、NBAロサンゼルス・レイカーズのスーパースター、レブロン・ジェームズは次のような投稿をインスタグラムに上げた。
キャパニックの意見に耳を傾けず、彼を非愛国者に仕立て上げようとした大国は、今、大きく揺れている。