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スウェーデン・ノーベル文学賞の選考委員会 関係者にセクハラ疑惑、18人の女性が告発 #MeToo

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
疑惑の男性の調査を開始したアカデミーのサラ・デニウス事務局(写真:ロイター/アフロ)

セクハラ・性被害を告発する「#私も」の動きで、ノーベル文学賞の選考委員会であるスウェーデン・アカデミーの周囲が騒がしくなっている。

スウェーデンの現地メディアでは氏名は公表されていないが、文学業界ともつながりが深い文化業界での「大物」が、複数の女性をレイプ・セクハラしたとされている。

21日にスウェーデンのDagens Nyheterが最初に報じたところによると、作家を含める18人の女性が被害を訴えた。被害時期は1996~2017年に及ぶ。

この文学界の大物とされる人物は、スウェーデン・アカデミーの18人のメンバーの一部と「強いつながり」をもっているとされる。

事件が起きた現場のひとつは、スウェーデン・アカデミーが所有する建物や、文化施設で、記事では「スウェーデン・アカデミーのラウンジ」と訴える女性らに例えられている。行為の一部はノーベル賞の晩餐会でも起きたとする女性もいる。

女性のひとりは、警察に「これは強姦だ」と言われたが、当時は届ける勇気がなかったという。

大物男性とスウェーデン・アカデミーの関係は90年代から続いていた模様。

アカデミー側には多くの説明義務があるとして、現地で批判を受けている。

23日、アカデミーのサラ・デニウス事務局は現地メディアの前で現状を説明。セクハラ現場となったとされる文化施設との連携や、男性への補助金を停止し、アカデミーメンバーと大物男性とのつながりの調査を開始したと伝える。

デニウス事務局は、男性の「悪い噂」は聞いていたが、これほどまでとは思わなかったと現地メディアに説明している。

男性はスウェーデンの文化事業への貢献が称えられ、過去に国王からも勲章を授与されているが、文化大臣は勲章取り上げを検討。

男性は今年のノーベル賞関連のイベントの出席を全て取り消された。

参照:スウェーデン・アカデミーのプレスリリースExpressenSVT

Text:Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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