ウエスタン開幕戦・後編 反省と後悔の島本に、掛布監督は…《3/15 阪神ファーム》
15日に開幕したウエスタン・リーグ。オープニングゲームは、阪神-中日(鳴尾浜)が9対2で中日の勝ち、広島-オリックス(由宇)は7対1で広島の勝ち。2つとも大差の試合となりました。2戦目のきのう16日は、鳴尾浜が3対2で中日の連勝、由宇は延長10回まで戦って3対3の引き分けです。
きのう16日も、6回に陽川選手が2試合連続のホームラン!これで2対2の同点にしながら、8回に登板した二神投手が渡辺選手にタイムリーを浴びてしまいました。きょうは連敗を止め、掛布監督に初勝利のボールをプレゼントしたいですね!小豆畑選手、お願いしますよ。って誰が最後にマスクをかぶっているかわかりませんけど。
15日の開幕戦の続編です
では、2日遅れとなってしまいましたが、15日の開幕戦で登板した島本投手、青柳投手、トラヴィス投手、先制タイムリーの柴田選手の話をご紹介します。また試合後のフリーバッティングで投げた望月投手のコメントも合わせて書きました。試合の詳細と、掛布監督、陽川選手、江越選手の談話は、こちらの<前編>でご覧ください。
開幕投手の責任を果たせず悔やむ島本
島本投手の投球を振り返ります。ヒットや四球で走者を出しながら1回、2回は0点に抑えていたのですが、3回に単打と二塁打で1死二、三塁として4番・ナニータ選手に3ラン、続く福田選手にもソロを許し4失点。そのあとまたヒットを打たれ、この回6連打。4回にもヒットと、自身の送球エラー(犠打失策)で松井佑選手の2点タイムリー。4回までで、中日の先発全員に10安打され6失点(自責5)という内容でした。
1回はナニータ選手からフォークで空振り三振を奪うなど、立ち上がりは悪くなかったように見えましたが、島本投手は「1回から危なかった」と言います。「そこから修正しようと思ったけど、なかなかできませんでした。自分の調子と勝負してしまったと思います。球も全部高くなってしまって…。真っすぐはそんなに悪くなかったけど、ちょっと中へ中へと入って小さくなり、幅がなかった」
スライダーのコントロールが難しかったかと聞かれ「いい球もあったんですけど。1回、2回にスライダーとフォークで三振を取っていて、ピンチの場面でもっと落ち着いていたらフォークを投げられたとのかなと思いますが、テンポが悪くなってスライダーばっかり投げてしまったので」と、やはり反省の言葉が次々と出てきます。1軍の先発枠をうかがう意味合いもあったであろう今回の先発。「先発する時は、中継ぎ以上に低めのコントロールが大事だと思う」と、自身の課題を挙げました。
そして「開幕戦を任せてもらって、結果で応えたかったんですけど…こういうことになって」とうつむく島本投手。ところが、ちょうど通りかかった掛布監督が「しまもとぉ~!」と。その声がとても大きかったのでビックリしていたら、続けて「暗い顔すんなよ!いいんだよ、全然。そんな暗い顔しなくていいんだよ」と、明るく元気に励まして去っていったのです。ずっと神妙な面持ちだった島本投手も思わず笑顔になったのは言うまでもありません。
「次はしっかり抑えます。それまでブルペンで、低めのコントロールをしっかり磨いていきたい」。そう言って前を向きました。それでいいんですよね。自分のプレッシャーや調子と戦っている場合じゃない。勝負するのはバッターです。投げっぷりナンバーワンの心意気を思い出してください!それにしても掛布監督の“愛あるゲキ”に一瞬、涙が出そうになりました。しかも「次が楽しみ。できるだけ早く次の登板を」という監督。今度はしっかり応えて、恩返しをしましょう。
青柳も反省の言葉が続々
続いて、公式戦初登板の青柳投手は5回に1イニングを投げ、6番・古本選手を投ゴロ、三ツ俣選手には粘られて四球を与えますが、続く松井雅選手を空振り三振!と同時に三ツ俣選手の盗塁を清水選手が刺して併殺。3人で片づけました。いきなりのピッチャーゴロでドキッとしたんですが、無事に一塁への送球もできて何より。
試合後に感想を聞くと「開幕の日に投げられたってのは嬉しいです。結果は、フォアボールがありましたけど無失点でよかった。でも内容で言えば、フォアボールが一番の課題だったのに出してしまった。引き続き課題ですね」と青柳投手。
さらに「短いイニングだったのでストライク先行でいったんですが、2ストライクからフォアボールを出してしまって。次も、結果は三振になりましたけどツースリー(フルカウント)までいって…。ストライク先行していても勝負しきれなかった」と反省の言葉が続きます
トラヴィスは「進歩できたかな」
トラヴィス投手は2イニングを投げ、1安打無失点でした。8回は2死からナニータ選手を歩かせますが、福田選手は真っすぐで空振り三振。9回は先頭に四球を与えたあと三ツ俣選手を二ゴロ併殺打に。そして松井雅選手に右前打されながら、最後は友永選手に対して真っすぐで見逃し三振!点差の開いた状況ではあったものの、抑えて戻る姿にベンチもスタンドも拍手喝采です。
「この前の紅白戦の経験を生かすことができました」とトラヴィス投手。真っすぐとフォーク以外の変化球をいろいろ試したという、10日に行われた紅白戦は1イニングで3安打3失点(味方エラーもあり自責は2)。うまく体重を乗せられず、球に力が伝わらなかったと反省していたんですよね。それを生かして今回は投げられたということでしょう。
コントロールも「前回よりはしっかり。ちょっと乱れかけたけど修正できたのでよかったです」と言っていました。また107、108キロのカーブが効果的だったのでは?「うまくタイミングを外せたかなと思う。前に比べて、カーブでカウントを取れるようになってきました。フルカウントの場面でも投げられるようにしたい。選択肢が増えたかなと思います」
開幕戦で投げるのは初めて?「はい。去年の今頃は、まだゲームメンバーにすら入っていなかったので。進歩できたかな」とニッコリ。試合登板も増えてきますよ。「そうですね。日々、勉強できています」。その勉強のひとつとして毎日、長身投手の映像を見てイメージトレーニングをするトラヴィス投手。ちなみに、けさは誰のを見たのでしょう。やはりストラスバーグさん?
「ストラスバーグさんと、マテオさん、ドリスさん」。お、阪神タイガースの新助っ人投手もラインナップに加わりましたね。「外国人投手はボールの角度がついているので、それも重要視して。バッターの嫌がる球を少しでも投げられるように」。ところで前に聞いた時、みんな“さん”づけなのに「メッセ、サファテ」だけは呼び捨てだったのはなぜ?「あ、ホントですね。なぜでしょう」。笑いながら首をかしげました。
準備力を生かせたプレーと柴田
開幕戦に関しては、もう1人。2回にペレス選手が右前打して1死一塁の場面で、右翼線にタイムリー二塁打を放った柴田選手は「よかったねえ。ランナー一塁の場面だったからねえ」と振り返っています。自身は三塁でアウトになってしまいましたが、先取点を挙げたわけですからね。
バッティングについて「きょうまでにいろいろ修正すべき点があって、監督にもバッティング練習でワンポイントアドバイスをもらった。自分でもわかっていて修正しなきゃと思っていたんですけど、きょうはゲームで修正できたと言われました」と言います。その修正ポイントは具体的に?と聞いたら「企業秘密」と笑い、「まあ、ちょっとしたズレ、ですね」とのこと。
守備では1回2死一、三塁の場面で福田選手の打球をレフトフェンスにぶつかりながらキャッチ!「きょうは風があって、いつもと違う風だった。まず後ろから入る形になったし高く上がっていて、追いかけながら“フェンス際になるかな”と準備する時間もあったので、いけました。ファインプレーと言われるかもしれないけど、基本を大事にしてきたから、ああいうのにつながったと思います。1つだけでなく、いろんな打球を考えて」。準備と、それに対応できる経験というのも大切ですね。
“初マウンド”で望月が感じたこと
最後に望月投手の話をご紹介しましょう。15日は試合後のフリーバッティングで、山本投手、岩本投手、横山投手、望月投手が登板しました。ルーキー・望月投手はこれが初。37球を投げたそうです。他の選手の取材中で見られなかったのが残念!プロに入って初めて、マウンドから打者に向かって投げた感想は?「傾斜自体はブルペンでもあったけど、それよりやっぱりバッターがいるってのは違いました」
どういうことを考えて投げた?「バッティング練習ですし、ストライクをしっかり投げなきゃいけないなと。10割の力でバンバンというよりは、7割~8割でストライクを取りにいこうと思っていました」。その結果は「左バッターのインコース、右バッターのアウトコース、いい指のかかりをした時は、いいところに決まったというのはあります。リリースを意識しているとこに持ってくれば、いい球がいくんだなと、きょう感じましたね」と望月投手。
ゲーム登板も近づいてきたということになりますが、そこへ向けて「今ブルペンで、インステップするのを直そうとしているんですが、バッターが立つとインステップしている感じがします。バッターが立っても、しっかり動きを出せるように、というのが課題」と話していました。楽しみですね。ファンの皆さんもデビューを心待ちにしていらっしゃいますよ。
またルーキーといえば、ドラフト2位の坂本選手が今、左脇腹痛で戦列を離れています。先日、チームドクターに診てもらったところ『軽い筋挫傷』とのことで、しばらく別メニューになるみたいです。1軍の開幕が近づいてきて、ファームも開幕して、いろいろと考えてしまうとは思いますが、とにかく完治を目指してください。シーズンは長いですからね。焦らずに。