2回KOで防衛に成功したWBAミドル級チャンピオン
40歳のキューバンvs.32歳のオーストラリア人。WBAミドル級タイトルマッチは、呆気ない幕切れとなった。WBAミドル級チャンピオン、エリスランディ・ララにとっては、今回のマイケル・ゼラファ戦が2度目の防衛戦。
試合開始直後からのジャブの差し合いでは、チャンピオンがペースを握る。腰を落とし、重いパンチで自身の距離を保った。クリーンヒットはほとんどないが、ゼラファの前進を完璧に外した。
第2ラウンド中程に、サウスポーのララは遠目からのオーバーハンドの左を見舞う。このシーンは、ララが左でのノックアウトを狙っていることを案じさせた。そして、同ラウンドの終盤に挑戦者のジャブをスウェーバックで躱した直後にワンツーをぶち込み、試合を決める。
公式KOタイムは2分59秒だった。
第1ラウンドでタイミングを掴み、強烈な左ストレートで仕留める。ララにしてみれば「してやったり」であっただろう。WBAミドル級1位にランクされるゼラファは立ち上がりはしたが、足がよろめいていたため、レフェリーのアレン・ハギンズは迷わず試合終了を宣言した。
30勝(17KO)3敗3分となったララは、試合後の勝利者インタビューで言った。
「私は、今回のトレーニング・キャンプをとても熱心に取り組みました。なぜなら、160パウンドすべてのファイターが私のタイトルを狙っていることを理解しているからです。普段から準備をしておけば、特別な対策は必要ありません。
いつも、相手の力量を測るのは1~2ラウンドのみだと言ってきました。最初のラウンドで、ゼラファのスタイルを把握しました。ですから、あの左ストレートは時間の問題だったんです」
左ストレート一発で挑戦者を沈めたララの左ストレートは、まさに伝家の宝刀だ。2階級制覇中の世界チャンピオンであり、キューバで最も偉大なボクサーの1人と称えられるララはミドル級に階級を上げて以来、3連続KO勝ちを収めている。しかも、すべてが世界タイトルマッチだ。
1~2ラウンドの6分間で18本のジャブを放ち、左ストレートを決めた40歳のパフォーマンスは、年齢的な衰えを感じさせない。
「私はこの試合の勝利を、キューバのみならず、私のキャリアを通して支えてくれた世界中のファンに捧げたいと思います」とララは締め括った。
初の亡命を企てた際に失敗し、2008年、スピードボートでメキシコに向かうという危険を冒してプロの世界に飛び込んだララ。命がけの挑戦は成功した。どこまで、防衛回数を増やせるか。