移動性高気圧と移動性高気圧の間の大気不安定による雷雨
移動性高気圧と放射冷却
10月24日の日本列島は、移動性高気圧に覆われて晴天のところが多くなり、雨が降ったのは、高気圧の南縁に位置する南西諸島など、一部の地方だけでした。
最高気温は全国的に平年並みか平年より高くなりましたが、季節が進んでいますので、平年より高いといっても夏の暑さには及びません。
湿度も比較的低く、日中は過ごしやすい秋晴れとなりました。
全国で気温が一番高かったのは、沖縄県・波照間の31.1度で、この波照間を含めて沖縄県の4地点(気温を観測している全国914地点の約0.4パーセント)で最高気温が30度以上の真夏日となりました。
また、最高気温が25度以上の夏日が51地点(約6パーセント)、最低気温が0度未満の冬日が70地点(約8パーセント)でした(図1)。
記録的な暑さが続いていた今年ですが、9月の彼岸の中日(秋分の日)になると、真夏日を観測した地点数が大きく減り、10月下旬になると夏日を観測した地点数も大きく減っています。
逆に、冬日を観測した地点数が増え始め、10月22日には、今冬初めて、冬日が夏日を上回りました。
移動性高気圧に覆われると、乾燥して風が弱く、雲が少ないことから地表の熱は雲に邪魔されることなく上空へどんどんと逃げるという放射冷却が強まって気温が低くなります(図2)。
日中と朝晩の気温差が大きくなる日が続きますので、お出かけの時刻に合わせた服装選びが重要になってきます。
移動性高気圧と移動性高気圧の谷間
10月25日は、前日に晴天をもたらした高気圧が日本の東海上に去り、次の移動性高気圧との谷間に入ると考えられています(図3)。
このため、北から寒気が南下し、四国・中国~北日本は雲が多くなり、所々で雨や雷雨となる見込みです。
南下してくる寒気は、上空約5500メートルで氷点下21度と、真冬に比べれば弱いものですが、西日本にとっては、平年より9度ほど低いという、今の時期としては強い寒気です(図4)。
このため、西日本から北日本の広い範囲で大気の状態が非常に不安定となって、局地的に対流雲が発達する見込みです。
発雷確率も、近畿から東北南部まで30パーセント以上という高い値が計算されています(図5)。
積乱雲が近づくサインに気をつけ、落雷や竜巻などの激しい突風、降ひょう、急な強い雨に注意してください(図6)。
今週末には再び強い寒気が南下
今週後半は、高気圧に覆われ、気温も平年より高くなるという予報ですが、今週末は再び強い寒気が南下する見込みです(図7)。
とはいえ、多くの地方では気温が下がって平年並みの予報です。
東京では平年値を挟んで、気温が高い日や気温が低い日があったのは10月中旬だけで、10月上旬までと、10月下旬以降は、平年より高い日がほとんどで、たまに気温が下がって平年並みです。(図8)。
また、札幌でも平年値を挟んで、気温が高い日や気温が低い日があったのは10月中旬だけで、10月上旬までと、10月下旬以降は、平年より高い日がほとんどで、たまに気温が下がって平年並みです。
それだけ、令和5年(2023年)は、気温が高い年ということができそうです。
ただ、季節が進むにつれ、平年の気温も下がっていますので、「平年より高い」といっても、夏の時とは違い、何をするのも快適な秋本番の到来です。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図2、図4、図5、図6、図7の出典:ウェザーマップ提供。
図3の出典:気象庁ホームページ。
図8、図9の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。