au経済圏も「カード投信積立」に参入。高還元はいつまで続く?
auカブコム証券がau PAYクレジットカードによる投資信託の積立を発表しました。通常の「1%還元」に加え、auやUQ mobileの利用者に向けた期間限定の特典もあるなど、通信と金融を組み合わせることで「au経済圏」としての差別化を図っています。
クレジットカードによる投信積立は、口座の残高を気にする必要がない利便性に加え、ポイント還元でもネット証券各社が競っています。2022年2月にはマネックス証券もサービスを開始しました。
auカブコム証券では、取り扱っている1400本以上の投資信託に毎月100円から積み立てが可能。au PAYカードによる決済で1%のPontaポイントが付与され、このPontaポイントでさらに投資信託を購入することもできるとのことです。
さらに携帯回線と組み合わせたキャンペーンとして、開始後12ヶ月間はauの対象回線は4%、UQ mobileの対象回線は2%を還元することで、合計3〜5%還元をうたっています。携帯回線と組み合わせた特典は国内初で、KDDIとの連携により高還元率が可能になったとauカブコム証券は説明しています。
注意点として、auとUQ mobileは「対象回線」が指定されており、たとえばauのデータ通信プランは対象外、UQ mobileは5Gのみで4GやWiMAXは対象外です。また、povo1.0/2.0についても対象外となっています。
KDDI側の狙いとして、auやUQ mobileへの乗り換えが増えることも期待しているといいます。毎月5万円を積み立てる場合、通常の6000ポイントに加えて、auなら12ヶ月間で24000ポイント、UQ mobileなら12000ポイントを追加でもらえることから、どのキャリアにするか迷っている人の背中を押す効果がありそうです。
実店舗との連携はどうでしょうか。全国のauショップなどでは、銀行やクレジットカード商品の販促をしているとのこと。「証券の場合、法令上の定めもあり検討は必要だが、リアルについても検討していきたい」(auカブコム証券 事業開発部長の石井政徳氏)と語っています。もし実現すれば、ネット証券として斬新な取り組みになるかもしれません。
「1%還元」いつまで続く?
投信積立は長期的な資産形成として取り組む人が多く、一度設定すれば他社に移るのは面倒です。しかし楽天証券がポイント還元の「改悪」を発表したことで、他の経済圏にとっては楽天ユーザーを取り込む大きなチャンスが訪れています。
楽天ユーザーは相次ぐポイント制度の変更に心を痛めており、他社に対しても「いずれ改悪するのではないか」と疑心暗鬼になる人が多いようです。
果たしてauカブコム証券の1%還元はいつまで続くのでしょうか。「投信積立だけでは事業上、厳しい面が出てくるかもしれない。しかしこれをフックに、他の証券取引もしていただけると思っている。開始後の状況を見ながら、期待に応えられるよう検討を進めていきたい」(石井氏)と意気込みを語っています。
au経済圏の中では、auじぶん銀行がKDDIの携帯回線と組み合わせ、住宅ローンで優遇金利を提供しています。auカブコム証券についても、安定収益を誇るKDDIと組むことによる長期的な取り組みに期待したいところです。