今季2度目のノーヒットノーランはベーブ・ルースが初達成以降史上12度目の継投リレー試合
現地4日にメキシコのモンテレーで開催されたパドレス対ドジャース戦で、ドジャースが4投手の継投リレーで今季2度目のノーヒットノーランを達成した。複数投手による達成は4年ぶりに史上12度目の快挙となる。また国外で実施された公式戦としては史上初めてだ。
ノーヒットノーランは過去2年間、それぞれ1度しか達成できなかったが、今シーズンは先月21日のレッドソックス戦でアスレチックスのショーン・マナエア投手に続き、わずか2週間足らずで早くも2度目の達成となった。
この日先発を任されたのは新人ウォーカー・ビューラー投手だ。昨年MLBデビューを果たしたばかりの23歳右腕で、開幕はマイナースタートだったが、ここまでスポット枠で2度メジャーで先発し、今回も緊急昇格で3度目の先発に臨んでいた。
1回を3者凡退に抑えた後、2回に1四球、3回に2四球と走者を許す場面もあったが後続をしっかり打ち取り、6回を無安打無失点、8三振の好投を演じた。その後トニー・シングラニ投手、イミ・ガルシア投手、アダム・リバレトーレ投手がそれぞれ1イニングをしっかり抑え、快挙を達成した。
ちなみにビューラー投手の球数は6回終了時点で93球。大記録がかかった試合だということを考えれば続投させてもいいケースだと思うが、今回はあまりに現実的ではなかった。ビューラー投手は将来を嘱望された期待の若手有望投手であり、シーズンが開幕したばかりのこの時期に無理をさせたくないのがその理由だ。しかも彼はプロ入りしたばかりの2015年にトミージョン手術(右ヒジじん帯の移植手術)を受けており、2017年からようやくシーズンを通して投げられるようになったばかりだった。チームもその起用法に細心の注意を払っており、やはり今回の継投は仕方がないところだろう。
だがMLBでは今回が史上12度目ということからも理解できるように、継投リレーによるノーヒットノーラン達成は決して珍しいことではない。先発5人制が確立され中4日で登板していかなければならないことを考えれば、どうしても次回登板に影響が及ばない程度の球数に抑えておきたいというチーム事情がある。それを物語るように、12回のうち8回が現在の投手起用が固定し始めた1990年以降に集中している。
ちなみに大谷翔平選手の二刀流の活躍で、再び時の人になった“元祖”二刀流のベーブ・ルース選手だが、実は彼こそが継投リレーによるノーヒットノーラン達成者の第1号なのだ。1917年6月23日のレッドソックス対セネターズ戦でのことだった。
といっても、ベーブ・ルース選手は先発して打者1人に対して四球を与えた時点で降板している。その後を引き受けたアーニー・ショア投手が9回を投げきり、史上初の継投リレーによるノーヒットノーラン試合となった。ベーブ・ルース選手にとっては“棚ぼた”的な記録達成となったが、だが彼は3日前のヤンキース戦で8安打1失点の完投勝利を飾っており、中2日での先発とあって早期降板は仕方なかったのかもしれない。
大谷選手もすでに4月8日のアスレチックス戦で7回途中まで完全試合を続ける好投を演じているが、中6日ペースで投げていることを考えれば、ある程度の球数を投げても次回登板への影響が少なくて済みそうだ。すでに本欄でも指摘しているように、今シーズンはここまで三振数が安打数を上回る“投高打低”の傾向が続いており、まだまだ大谷選手にもチャンスがあるのではないだろうか。