そんなに売れている? アマゾンのアシスタント端末、売れ行き好調で、まもなく小型版登場との報道
そんなに売れている? アマゾンのアシスタント端末、売れ行き好調で、まもなく小型版登場との報道
米アマゾン・ドットコムが一昨年の11月から米国で販売している「Echo(エコー)」という音声アシスタント端末は売れ行きが好調で、同社はまもなくこの端末の小型版を発売する見通しだと、米ウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディアが報じている。
Echoのポータブル版が登場
Echoは、高さ23.5cm、直径8.3cmの円筒形の端末で、常にインターネットに接続しており、利用者が質問や命令をすると、単語を調べたり音楽やニュースを流したりする。
本体には2つのスピーカーと7つのマイクを内蔵しており、「遠距離音声認識」と呼ぶ技術で、室内の離れた場所にいても利用者の声を聴き取る。
Echoで利用できる機能には、アマゾンの音楽配信サービスなどからの音楽再生や、同社傘下のオーディオブックサービス「オーディブル(Audible)」のコンテンツ再生、ラジオ局のニュース、天気予報の再生、アラーム、タイマー、Wikipediaの情報検索、To-doリストやアマゾンのショッピングリストへのアイテム追加などがある。
今週、ウォールストリート・ジャーナルに掲載された記事によると、Echoの小型版となる新端末は「Fox」というコード名で開発されている。こちらの本体は手のひらに収まる大きさで、Echoのポータブル版という位置付けという。
Echoは常に電源コードを家庭のコンセントに差し込んで利用するが、Foxは専用のドッキングステーションから充電して使う。
またFoxは、Echoのように常に音声命令を待ち受けるのではなく、利用者が本体のボタンを押した時に命令を受ける。これによりバッテリーの持ち時間を延ばすという。
そして、アマゾンは今後数週間以内にFoxを発売する見通しだと事情に詳しい関係者は話している。Echoは昨年7月に米国で一般販売が始まり、価格が当初の199ドルから179.99ドルに引き下げられたが、Foxはさらに安価で販売される見通しという。
ウォールストリート・ジャーナルによると、多くの専門家や消費者は当初Echoについてどう評価したらよいのか分からなかった。
だがそのアシスタント機能や、ほかの部屋からの命令も受けられるマイクの性能などが消費者に受け入れられ、肯定的な評価を受けるようになった。新端末のFoxはこうしたEchoの成功を踏まえて開発されたという。
アマゾンはこれまでEchoの販売台数について具体的なことを明らかにしていない。だがEchoは不振に終わったアマゾンのスマートフォン「Fireフォン」とは対照的だという。例えば、アマゾンのウェブサイトに寄せられた評価を見ると、Echoは3万件超のカスタマーレビューが5段階の星の評価で平均4.5となっている。
これに対しFireフォンに星1つの評価をつけた利用者は43%もいるという。
Echoの機能、続々追加
アマゾンはEchoを発売して以来、この端末に様々な機能を追加してきた。例えば昨年4月には、インターネットラジオ「Pandora」、道路交通情報、スポーツ情報を利用できるようにした。
また、蘭フィリップスのLED照明器具や、米ベルキンの電源器具を操作できる機能も追加。「Googleカレンダー」へのアクセスや、「IFTTT」と呼ばれるウェブサービスへの対応、Prime対象商品の再注文機能なども追加している。
昨年10月には地域口コミ情報サイト「Yelp(イェルプ)」のサービスを利用できるようにした。
このほかアマゾンは、Echoの頭脳部であるクラウドベースの音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」を、外部企業の製品(ハードウエアやウェブのサービスなど)と連係させるためのソフトウエアを無償で提供している。
また同社はそうした製品を開発する新興企業を支援する「Alexa Fund」と呼ぶ、総額1億ドルの基金も設けている。
アマゾン、フォードと提携
今年に入ってアマゾンはAlexaに関して、米フォード・モーターと提携した。これにより「SYNC」と呼ばれるフォードの音声操作システムとAlexaを連携させるという。
例えば、車が自宅に近づいた際、車の中から音声命令でガレージのドアを開けたり、玄関の照明を点けたりできるようになる。
また家の中からは、エンジンを始動・停止したり、車のドアを施錠・解錠したり、燃料の残量やその残量で走行可能な距離を調べたりすることができるという。
こうしたアマゾンの取り組みついて前述のウォールストリート・ジャーナルの記事は、音声アシスタント技術を家庭の中と外の両方に普及させる戦略だと伝えている。
この戦略でアマゾンは、米アップルや米グーグル、米マイクロソフトといったスマートフォン分野で音声アシスタントを提供するライバルに対抗できるようになると、同紙は伝えている。
(JBpress:2016年1月14日号に掲載)