球速だけでなく回転数でも超一級品だった!今すぐにでもMLBで通用するだろう佐々木朗希の速球
【ようやく人間らしさを見せてくれた佐々木投手】
ロッテの佐々木朗希投手が6月3日の巨人戦に登板し、今シーズン最多というよりキャリア最多の5失点(自責点は4)を許し、初黒星を喫した。
岡本和真選手に今シーズン初の本塁打を浴びるなど、巨人打線に見事に攻略されてしまった感があるが、それでも5イニングで6三振を奪っているのだから流石というしかない。
むしろ今シーズン初めて開幕からローテーション入りしている20歳の佐々木投手からすれば、むしろこれまでの投球が異次元過ぎたのだろう。成長途上の投手なのだからシーズンを通して浮き沈みがあって当然のこと。というよりも今は失敗を重ねながら新しい発見をしていく時期ともいえる。
個人的にはようやく20歳の若者らしさが垣間見られて、多少安堵した気持ちすら抱いている。
【速球回転数2500台はMLB先発投手でもベスト4】
ただ敗戦投手になった巨人戦でも、改めて佐々木投手の将来性に驚かされる思いだった。
この試合はBS日テレが中継を担当し、トラックマンを駆使して投球データ(初速、終速、ボールの回転方向、回転数等)を表示してくれていたのだが、やはり佐々木投手のデータは素晴らしいものだった。
中でも興味をそそられたのが、速球(佐々木投手の場合はフォーシーム)の回転数だ。
試合開始当初は球速が150キロ台後半だったこともあり、回転数も2400台(回転数はいずれも毎分)が多かったが、ピンチを迎え球威が増し160キロ台のボールが増えてくると、回転数も自然と上がり2500台が中心となり、時には2600台を度々計測していた。
すべての速球の回転数をメモしデータ化していないのでアバウトではあるが、巨人戦での佐々木投手の速球に関する平均回転数は2500台だと考えられ、これは今シーズンのMLB先発投手の中でもトップ4に入る回転数だ。ぜひ下の表を参照して欲しい。
【回転数ではバーランダー投手、コール投手より上】
如何だろう。この表は規定投球回数に達した投手を対象にしたものなので先発投手のみだが、それでも2500台を記録しているコービン・バーンズ投手、ジョー・マスグローブ投手、ダルビッシュ有投手、フリオ・ウリアス投手は、それぞれのチームで主力級の先発投手ばかりだ。
さらに2400台を見ても、ゲリット・コール投手、ジェイムソン・タイヨン投手、ジャスティン・バーランダー投手と、現在ハーラーダービーに名を連ねる投手たちが顔を揃えている。
ちなみに今シーズン大谷翔平選手の速球平均回転数は2233で、この表の中には入ってこない。
念のため登板数が10試合以上の中継ぎ投手も対象にしてみたところ、それでも平均回転数が2500台以上だったのは、MLB全体でも20人しか存在していなかった。
【現在ではMLBスカウトが重要視している回転数】
なぜ回転数にこだわるのかといえば、明確な理由がある。数人のMLB関係者に確認したところ、現在のMLBスカウト達は投手を評価する上で、球速とともに回転数を重要視するようになっているからだ。
当然のごとく回転数が変わってくれば速球、変化球ともにその質が変わってくる。そのため回転数の高いボール(スプリットやナックルなどの球種は別物)を投げられる投手の方が、投球の幅を広げられるという考えが主流になってきている。
実際ドジャースのトレバー・バウアー投手(現在MLBの出場停止処分を受け係争中)は、大谷選手も2年前から通い始めたことで知られる「ドライブライン」というトレーニング施設で回転数を増すことに成功し、投球の質が変わったことで2020年にサイヤング賞を受賞するなどリーグを代表する投手に変貌している。
【すでに佐々木投手の速球は球速、回転数ともにMLBでも超一級品】
もちろん今シーズンは常時160キロ台を記録している佐々木投手の球速は、現在のMLBでも間違いなくトップクラスだ。
ちなみに今シーズンのMLBで速球平均速度のトップ(登板数が10試合以上の投手が対象)は、エマニュエル・クラセイ投手の99.7マイル(約160.1キロ)なので(大谷選手は61位)、下手をすれば先発の佐々木投手がMLBトップになれる可能性すらある。
それに加え速球平均回転数も2500台だということが判明し、こちらもMLB先発投手の中でもMLBトップ4に入る代物だった。まだ成長途上の20歳でありながら、佐々木投手が投げる速球は球速、回転数ともにMLBで十分に通用する超一級品だということが証明されたのだ。
今も多くのMLBスカウト達が、佐々木投手の動向に熱い視線を送っていることだろう。