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先輩イ・ボミも狙う“メジャータイトル”に強いチョン・インジの人気とスゴさとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
昨年のKLPGA大賞でのチョン・インジ(左)とイ・ボミ(写真提供:KLPGA)

全米女子ゴルフツアーのメジャー最終戦となる『エビアン選手権』を制したのは、韓国のチョン・インジだった。彼女が果たした快挙には、韓国メディアも大盛り上がりだ。

「新しい歴史を書いたチョン・インジ、笑顔で世界を揺らした」(『スポーツ京郷』)、「メジャークイーンになったチョン・インジ、遺憾なくそのネームバリューを見せ付けた」(『MKスポーツ』)、「チョン・インジ時代が花開いた!!」と大きく報じられている。

美女ゴルファーの正統派で最近は「ゴルフ界のイ・ヨンエ」との声も

もともとチョン・インジは韓国でも人気者でもある。「人気と実力と美」を兼ね備えた者だけが選ばれるKLPGA広報モデルには2年連続で選ばれている。

ディズニー映画の主人公に似ていることから“ダンボ”の愛称で親しまれ、そのファンクラブ会員数は4000人をも超えると言われているほど。今季からアメリカを主戦場としていることもあって“韓国美女ゴルファー神セブン”には数えていないが、最近は「韓国ゴルフ界のイ・ヨンエ」とさえ言われるようになった。

イ・ヨンエと言えば、韓国では“酸素のような美女”の愛称で知られ、ドラマ『チャングムの誓い』主演で日本でもファンが多いことで知られている。そんな正統派女優に近い面影があると言われているのだから、チョン・インジも光栄だろう。

しかも、ライバルであり、同僚でもあるゴルファーたちからの評価も高い。以前、韓国メディアがKLPGAでプレーするツアープロ59人を対象に、さまざまな設問をぶつけるアンケートがあったのだが、チョン・インジは「スイングがとても良い選手」で2位、「体力がもっとも優れた選手」で3位に選ばれているのだ。

(参考記事:韓国女子プロが選んだ“禁断”のゴルファーランキング。イ・ボミの順位は?)

大舞台に強い。メジャー優勝はすでに6回

実力よし、ルックスよし、ファンや同僚の評価もよし。しかも、大一番に勝負強い。KLPGA初優勝は2013年の韓国女子オープンであったし、昨年は日本ツアー初出場でいきなりワールドレディスサロンパスカップ優勝。7月には全米女子オープンで初出場・初優勝、10月には日本女子オープン、KLPGAのKB金融スターチャンピオンシップも制している。

韓国、日本、アメリカでのメジャータイトル制覇回数は今回のエビアン選手権で通算6回目。しかも、今回のエビアン選手権は連日雨が続いた悪天候の中でもメジャー新記録となる通算21アンダーでの優勝だ。

チョン・シンジが師匠であるパク・ウォン氏から「変数ではなく常数と闘え」という独特のゴルフ哲学とコース攻略を教えられてきたことは韓国では有名な話だが、まさにそのゴルフをメジャーという大舞台で実践したと言えるだろう。

(参考記事:「変数ではなく常数と闘う」チョン・インジの原点と勝負強いメンタルの秘訣)

日本女子オープンにも参戦。期待されるイ・ボミとの競演

そんなメジャークイーンであるチョン・インジが次に目指すのは、9月29日から始まる日本女子オープンだ。前年度王者として久々に日本にやって来るが、個人的に期待したいのは同じ韓国の先輩イ・ボミとの組み合わせだ。昨年の日本女子オープンでは、初日、2日目と同じ組で回っているが、果たして今年も実現するだろうか。

ただ、最近のイ・ボミは厳しい戦いが続いている。『CATレディース』優勝以降、4週連続でタイトルに手が届かないだけでなく、『マンシングウェアレディース東海』では今季自己ワーストの19位タイで終わった。8週連続で試合が続く強行軍で疲労困憊なのは明らかだろう。

「去年からボミのゴルフは攻撃的になり、技術面も精神面も選手として脂が乗っている。今季の課題を強いてあげれば、体力面です。彼女には“技術面よりも体力が重要だ。体力管理をしっかりしてこそ良いプレーができる”と言っています」と語っていたのは、イ・ボミのコーチであるチョ・ボムス氏である。

(参考記事:イ・ボミと名物コーチの二人三脚物語/守りのゴルフから攻めのゴルフへ)

イ・ボミは『マンシングウェアレディース東海』を終えたあと、疲労回復のために一旦、韓国に戻っているが、韓国ではきっとチョ・ボムス氏のもとを訪ねてスイングチェックやアライメントを受けるだろう。韓国でリフレッシュし、今週の『ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント』で調子を戻したあと、万全の状態で『日本女子オープン』に臨んでくれるに違いない。

ちなみにチョン・インジとイ・ボミの2シヨット写真をKLPGAに打診したところ、提供してくれたのがこの写真だ。昨年のKLPGA大賞受賞式でチョン・インジは賞金女王や年間MVPに輝き、イ・ボミは海外特別賞を受賞。肩を並べて記念写真に収まった。

日本女子オープンでも華のある競演を見せてもらいたいものだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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