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47年目にして初のNBA頂点へ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 1Q終了時で22-24、ハーフタイムで44-51、4Qスタート時も70-71とデンバー・ナゲッツは、マイアミ・ヒートにリードを許していた。が、粘り強く食い下がり、94-89と逆転勝ちに成功。今季のナゲッツが3ケタに達しないのは珍しいとも思えたが、ついにホームアリーナを埋め尽くしたファンと勝利の美酒に酔った。NBAチャンピオンの座に就いたのだ。

 やはり、ここまで勝ち上がったチームは心身共に消耗している。西区ファイナルをスイープして、5月24日より8日間、ファイナルの準備に時間を費やせたナゲッツは、東地区の第8シードとして勝ち上がり、地区ファイナル最終戦でボストン・セルティックスを敗ったヒートよりエネルギーを感じた。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 とはいえ、第5戦のナゲッツ・オフェンスは、いつもとは大違いだった。3Pの成功は28本中僅か5。そればかりでなく、10本ものフリースローを外した。

 ただ、大黒柱のニコラ・ヨキッチが16本中12本のシュートを成功させ、28得点、16リバウンド、4アシストと気を吐いた。この数字はヨキッチにとって決して高いものではないが、ファイナルのNBAに相応しいプレーで、チームを牽引した。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 デンバーの設立は1967年。当初はロケッツなる名でABAでプレーしていたが、2つの異なるリーグを経て、ナゲッツとなり、ついにバスケットボール界の頂点に立った。

ヒーローが出ていたら…
ヒーローが出ていたら…写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ヒートにとって誤算だったのは、タイラー・ヒーローの欠場であろう。プレイオフ、ファーストラウンドのミルウォーキー・バックス戦で右手首を骨折。ファイナルの4試合を欠場したが、当初はこの第5戦で出場可能と発表された。しかし、実際にコートに立たないまま今季を終えた。

 新王者ナゲッツは、今日を境に追われる立場となる。初Vを機に、名門チームへの土台を築けるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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