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またまたドラッグテスト陽性でリングに上がれないヘビー級のジャレル・ミラー

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
懲りない男(写真:ロイター/アフロ)

 昨年6月1日にアンソニー・ジョシュアの持つWBA/IBF/WBOヘビー級タイトルに挑戦する予定だったジャレル・ミラーが薬物検査に引っかかり、マジソン・スクエア・ガーデンで行われた筈の試合が中止となったのは記憶に新しい。

 業界を騒がせたミラーはWBAから6カ月の活動停止処分を受け、来る7月9日にリング復帰を果たすこととなっていた。ラスベガスMGMグランドでジェリー・フォレスト戦が組まれたが、この程、またドラッグテストで禁止薬物反応が出た。もちろん、試合は中止である。

 ミラーは本格的にボクシングに転向する前、キックボクサーだった。その頃もメチルヘキサンアミンの使用が明るみに出て9カ月の謹慎を食らっている。

 

 フロイド・メイウェザー・シニアはドラッグの売人を生業としていた時期がある。逮捕され、ドラッグの怖さを学びながら「自分はなんて愚かなことをしたのだろうと感じた。教育ってのは本当に大事だと思い知らされた」そうだ。

 私が2時間ぶっ続けでインタビューした1999年夏、しみじみとそう語った。

 アーロン・プライア―も「逮捕されて『これでコカインから逃れられる』と安心した」と言った。

 つい先日、本コーナーでお届けしたジョニー・タピアは、ドラッグで命を落としている。https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20200527-00179404/ https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20200626-00183226/

 果たしてミラーは今後、どんな道を歩むのか? ここまで常習的に薬物に溺れていては、並大抵の努力では断ち切れないだろう。彼は<Big Baby>と呼ばれるが、プロボクサーとして、また社会人として正しい選択をすることを願う。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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