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結婚とプロ雀士合格を同時に発表。そこから垣間見える「プラス・マイナス」兼光タカシの本質

中西正男芸能記者
結婚とプロ雀士合格を同時に発表した「プラス・マイナス」の兼光タカシさん

 どこの劇場でも必ず爆笑を起こし芸人仲間からも一目置かれている漫才コンビ「プラス・マイナス」。オール巨人さんらのモノマネを得意にしている兼光タカシさん(43)が20代後半の一般女性との結婚、そしてプロ雀士の資格取得を今月10日、同時に発表しました。そこから兼光さんという人間の本質、そして、満足することなく芸を追い求める芸人としての根っこが垣間見えました。

新型コロナ禍

 もともと麻雀が好きで平均週2回くらいは芸人仲間で卓を囲んでいたんです。でも、新型コロナ禍でそれができなくなってしまった。そこで、自分がいかに麻雀が好きかを改めて思い知ったんです。

 それと、これもコロナ禍の影響で仕事量が減ったのもあって、今後の仕事を考えた時に麻雀関連の仕事も増えたらありがたい。正直その思いもあって、だったら、いっそのことプロ雀士になってみよう。そう考えたのがきっかけでした。

 今年6月に試験を受けて、学科、面接、実技とあったんですけど、合格の報せをもらったのが8月初旬でした。

 プロ雀士というのは、そうですねぇ、プロゴルファーにイメージが近いかもしれないですね。それだけではお金が入ってくるわけではなく、大会に出て結果を残すと賞金がもらえる。そんな感じですね。

 もちろん、仕事の軸、自分の幹は漫才です。ただ、プロ雀士になったことを発表して数日で麻雀関連のいろいろな方々からご連絡もいただき、本当にありがたいことだと思っています。

ダブル発表

 プロ雀士に受かってから3カ月ほど経ってるんですけど「発表するのは結婚と同時の方がいいかな」という思いがありまして…。

 というのも、僕なんかがプロ雀士になったからといって「知らんがな」の世界だと思いますし、結婚との合わせ技だったら、まだお知らせする意味が少しはあるのかなとも思いまして。

 そして、結婚の方のお話をさせていただくと、彼女は20代後半。出会ったのは数年前で、お付き合いの期間は1年半ほどでした。

 今年7月に僕がプロポーズをしたんですけど、正確に言うと婚姻届はまだ出してなくて、来年1月に出すことを二人で決めたという状況なんです。

 普通は婚姻届を出してから結婚発表となるものなんでしょうけど、そこまでプロ雀士の発表を伸ばすのも、それはそれで自分のことなんかで引っ張り過ぎじゃないかと。ただ、結婚はそのタイミングでもう決めたし…。

 その状況に鑑み、間をとって11月10日が僕の誕生日なので、そこで発表しようと思ったんです。合格のおめでた、結婚のおめでた、誕生日のおめでた。3つが乗っかる形なら「知らんがな」となりにくいかなと(笑)。少しでも。

 今でも「ホンマに結婚も発表せなアカンのかな?僕くらいのことで」という思いもすごくあるのが正直なところではあるんですけど。

 どこまでも“僕ごとき”のことでおこがましくもあるんですけど、それぞれがそれぞれの“照れ隠し”になるというか。そういう意味も出てくるかなと思って誕生日の発表にさせてもらったんです。

今後の「プラス・マイナス」

 急にいろいろな流れがやってきましたけど、これからも活動のメインはもちろん漫才です。

 これまではずっと「M-1グランプリ」というものを見据えてやってきましたけど、もう一昨年で出場資格的に出られなくなっています。

 ただ、これも本当にありがたいことに今年「上方漫才大賞」の奨励賞をいただいたので、その先、すなわち大賞を目指す。今はそこを考えています。

 最終的には「中川家」さんみたいな形になれたらなと。舞台でしっかり漫才をして、営業でも求められ、テレビにも出る。全部良い感じで、全部を大事にしつつ、そして好きなこともやっている。そんな形になれたら最高ですね。

 結婚、そしてプロ雀士、相方にももちろん報告したんですけど、意外な反応ももらいました。

 麻雀は日曜に大会があることが多くて、日曜は漫才的にも営業とかの仕事が入りやすい日でもあるんです。

 なので、麻雀の大会に出ると、漫才の仕事に影響が出ることもあるかもしれない。そこはきちんと話しておかなければと思って伝えたんですけど、そこをしっかりと受け止めてくれまして。

 これはね、すごく意外だったんです。ビックリしたくらいでした。これはコンビだからこそ分かる空気感なのかもしれませんけど、これまでだったらこうはならなかったと思います。もっと頑なに反対されたりしていたと思います。

 それはそれで、もちろん、相方が仕事に対して一生懸命考えている結果なんですけど、今回は僕の選択をすごく前向きにとらえてくれました。

 まだ答えが出ている段階ではないですけど、いろいろなことを経てコンビが成長して、僕らにしかできない漫才をお見せする。

 行きつくところ、それが僕らのやるべきことだと思いますし、時間がかかってもそこにたどり着けるように頑張りたいと思います。

(撮影・中西正男)

■兼光タカシ(かねみつ・たかし)

1978年11月10日生まれ。大阪府出身。2003年に高校の同級生の岩橋良昌と漫才コンビ「プラスマイナス」を結成する。NSC大阪校25期生。NHK上方漫才コンテスト最優秀賞、ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞などを受賞。16年にコンビ名を「プラス・マイナス」に改名する。どこの劇場でも必ず爆笑を起こすコンビとして芸人仲間からも一目を置かれる存在となる。兼光はオール巨人、「麒麟」田村裕などのモノマネでも人気を博す。11月10日、20代後半の一般女性との結婚とプロ雀士の資格を取得したことを同時に発表した。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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