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▲藤井聡太挑戦者(四冠)-△渡辺明王将(三冠)天下争う戦い始まる 王将戦七番勝負第1局2日目

松本博文将棋ライター
掛川城(写真:cap10hk/イメージマート)

 1月10日。静岡県掛川市・掛川城二の丸茶室において第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第1局▲藤井聡太挑戦者(19歳)-△渡辺明王将(37歳)戦、2日目の対局がおこなわれています。棋譜は公式ページをご覧ください。

 8時44分頃、藤井挑戦者が対局室に入りました。

 藤井挑戦者は昨日、後ろの髪が少し跳ねていましたが、今日はその寝癖は見られません。

 8時48分頃、渡辺王将が姿を見せ、床の間を背にして、上座に着きました。

 本局の立会人は森内俊之九段。記録係は福田晴紀三段。両対局者が駒を並べ終えたあと、記録係の棋譜読み上げに従って、昨日1日目の指し手が再現されます。

森内「それでは1日目の指し手を再現してください」

福田「先手、挑戦者・藤井竜王▲2六歩。後手、渡辺王将△8四歩。・・・」

 戦型は相掛かりに進みました。昨日、注目を集めたのが藤井挑戦者の41手目、▲8六歩という手でした。

 王将戦七番勝負は途中で対局者に見解を尋ねるという独自のスタイル。藤井挑戦者は▲8六歩が予定であったことを明かしています。対して渡辺王将にとっては、なんとも悩ましい一手。両者の対戦では珍しく、渡辺王将の時間消費が先行しました。

 1日目は46手目、渡辺王将が4筋の歩を突いた局面で藤井挑戦者が47手目を封じて指し掛けとなりました。

森内「それでは封じ手を開封します」

 2日目朝。森内九段が2通の封筒にはさみを入れます。

森内「封じ手は▲3五歩です」

 藤井挑戦者は3筋の歩を突いて動きました。

森内「定刻になりました。2日目の対局を開始してください」

 両対局者は改めて一礼。対局が再開されます。

 藤井挑戦者はおしぼりで念入りに手を拭きました。渡辺王将は一呼吸をおいて、△3五同歩と応じます。昨日の昼休明けではすぐに指すことができなかった渡辺王将ですが、本日朝は観戦者の前で指す場面を披露することができました。

 藤井挑戦者は1歩を持ち駒にして、いったんは銀を引きました。

 渡辺王将は7筋、6筋の歩を突いて反撃に出ます。藤井挑戦者は中段に筋近い角を置き、攻防の基点としました。

 12時15分を過ぎた現在、藤井挑戦者が59手目を考えています。

 昼食休憩は12時30分から13時30分まで。夕食休憩はなく、終局まで指し続けられます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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