「財務省の犯罪を見逃すな!起訴すると信じています」森友事件で検察に大阪・東京同時要請
参院選さなかの17日。大阪地検前でプラカードを掲げアピールする人々がいた。「森友事件で財務省がしたことは犯罪だというのが、市民の常識的な感覚です。ぜひ起訴して検察の意地を見せて下さい!」
声を上げているのは、大阪・豊中市の市議会議員、木村真さんだ。トレードマークのオレンジ色のシャツをこの日も着ていた。
森友事件「不起訴はおかしい」という議決
木村市議は森友事件の火付け人だ。近畿財務局が森友学園に売却した豊中市内の国有地の金額の公開を求めて、2017年2月8日に裁判を起こした。これがきっかけで8億円もの値引きが明らかになり、さらに、土地取引に関わる公文書の改ざんや廃棄も発覚した。安倍昭恵首相夫人の名前などが消されていた。財務省の佐川元理財局長ら幹部や近畿財務局の職員らが背任と公文書変造などの罪で告発されたが、大阪地検特捜部は全員を不起訴にした。
ところが市民から選ばれる検察審査会は「不起訴不当」と議決し、「起訴する意義は大きい」とまで表現した。この議決を受けて現在、大阪地検特捜部はこの件の再捜査を行っている。
「財務官僚らを起訴すべき」大阪と東京で同時要請
こんどこそ財務省幹部らを起訴し、法廷で真相を明らかにしてほしい。木村市議は東京大学の醍醐聡名誉教授らと連携し、大阪と東京で同時に検察庁に対する要請を行った。
要請の宛先は検察トップの検事総長。大阪の申し入れでは、値引きの根拠とされたごみがないことを近畿財務局の担当者が知っていたこと、「理事長がおっしゃるゼロ円に近づける努力を今、私しています」と発言していたことが明らかになっていると指摘。国有地を極端な低額で売却し、国に損害を与えたことは明白で、市民の常識的な感覚としては、なぜ背任罪に問われないのか理解しがたいと訴えた。また財務省による公文書の改ざんと廃棄についても、財務省自身が認めている事実で、犯罪を構成すると考えるのが当然だと指摘した。
特捜部は事務官2人が応対。要請については「お受けしました。法律に則って判断します」としか答えなかった。木村市議が「起訴・不起訴はどこで意思決定されているのか?最高検の圧力があるのではないか?」と迫ると、「基本的に大阪地検内で判断する」と答えたという。
すかさず木村市議は発言した。「ええかげんな扱いせんといて。圧力がないというなら、大阪地検がきちんと捜査して、粛々と起訴してほしい」
「必ず起訴すると信じています」
要請の前後には、木村市議をはじめ10人ほどが大阪地検前でアピールを行った。掲げたプラカードには「特捜部よ!意地を見せろ!」「忖度するな!」「財務官僚を起訴すべし!」などと書かれている。
木村市議は地検の建物に向かって訴えた。「うそとごまかしと改ざんと隠ぺいがまかり通る。こんなでたらめを認めていいのですか?私たちは特捜部の奮闘に期待しています。でも、またしても不起訴なら、検察庁に対する市民の信頼は地に落ちるということを肝に銘じてください。必ず起訴すると信じています」
森友事件追及の急先鋒「たつみコータローさんを国会に」
そして、進行中の参院選についても触れた。「私たちは森友事件を追及してきたたつみコータローさんを応援しています。大阪選挙区ではぜひ、たつみさんが当選して国会に戻ってほしい。そして引き続き森友事件を追及してほしいと思っています」
この後、木村市議はたつみコータローさんの街頭演説会場に駆けつけ、ガッチリと握手。マイクを握って支援を訴えた。
森友事件は終わらないだろう。真相を追及する人々がいる限り。
【執筆・相澤冬樹】