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Googleで「ユダヤのベビーカー」と画像検索すると「小型焼却炉」ホロコーストを想起と批判

佐藤仁学術研究員・著述家
(Google画像検索より)

 Googleで「Jewish baby strollers(ユダヤのベビーカー/乳幼児具)」と画像検索すると、ベビーカーではなくて小型のポータブル焼却炉の画像が表示されるとNetwork Contagion Research Instituteが指摘している。

「Jewish baby strollers」と画像検索するとたしかに小型焼却炉が表示される(Google画像検索より)
「Jewish baby strollers」と画像検索するとたしかに小型焼却炉が表示される(Google画像検索より)

 これに対してイスラエルのメディアやユダヤ団体らは「ユダヤのベビーカー」で画像検索をしているのに「ポータブル焼却炉」が表示されるのはおかしいと衝撃をうけ「反ユダヤ主義を想起させる」と抗議している。焼却炉は、ナチスドイツが第二次世界大戦時に600万人以上のユダヤ人を殺害したホロコーストの時に、絶滅収容所でユダヤ人をガス室で大量虐殺した後に遺体を焼却した焼却炉を想起させるものであり、反ユダヤ主義を煽動するものだと主張している。今でも欧米やアラブ諸国では反ユダヤ主義は根強く、ユダヤ人への怒りや反意を示す際にはホロコーストを想起させるワードを使い、その中には焼却炉も含まれている。そのためユダヤ人にとっては「ユダヤ=焼却炉」となるような検索結果はホロコーストを想起させ反ユダヤ主義を煽るセンシティブな問題である。

Google「反ユダヤ主義に対する偏見は一切ありません」

 この画像検索結果に対してGoogleは「たしかに不愉快な画像が検索結果として表示されることは認めますが、これらはアルゴリズムによって検索結果は表示されます。人々が画像検索した際にその画像が表示されているサイトやページに書かれているワードと一緒に画像検索結果が表示されることが多いです。Googleには反ユダヤ主義に対する偏見は一切ありません。今後も検索結果の表示については改善を行っていきます」とイスラエルのメディアJewish Telegraphic Agencyに述べている。つまり小型のポータブル焼却炉の画像が表示されているサイト内に「Jewish baby strollers(ユダヤ人のベビーカー)」というワードが多く書かれているので、このような画像検索結果となる。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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