ノルウェーのファッション王者による新ブランド誕生 MAUDとFRAM
北欧ファッションに新しいブランドが仲間入りした。男性向けの「FRAM」(フラム)と女性向けの「MAUD」(モウド)だ。
ノルウェーには数々の高級ブランドを取り扱う店舗「Hoyer」(フイエル)がある。FRAMとMAUDはHoyerが手掛ける初のブランドだ。
Hoyerの創業者であるウルヌルフ・フイエル(60歳、Ornulf Hoyer)は、ノルウェーでは「ファッション界の王者」とも言われており、国内に37の店をもつ。「何が店舗で売れるか」、「新しいデザインをどう売るか」を熟知する人物だ。
同氏の曽祖父は、ナンセンのフラム号遠征を行い、難民救済活動が評価され1922年にノーベル平和賞を受賞したフリチョフ・ナンセンだ。首都オスロにはフラム号博物館があり、人気の観光スポットになっている。
曾祖父の「フラム号」にちなんで、男性向けのブランドは「FRAM」と名付けられた。素材にこだわり、環境面も配慮して、長く使いたいと思わせるデザインや質にこだわっている。
女性向けの「MAUD」は「強い女性」を意識。2017秋冬コレクションは着物からもインスピレーションを受けている。特別な時にだけ着たい、「MAUD Atelier」という数に限りがあるドレスシリーズも発表された。
オスロでは8月末にファッションショー「オスロ・ランウェイ」(Oslo Runway)が開催される。16日の初日にはヤコブ教会が会場となり、MAUDとFRAMが一足先にお披露目された。
これまでノルウェーで開催されたファッションショーは何度も見たが、モデルは金髪で白人が多いのが一般的だった。今回は肌や髪の毛の色が多種多様で、ノルウェーらしい「多様性」も感じられた。
MAUDのデザイナーはSophie Noel Vanay、FRAMはThomas Frodahl。
外で時間を過ごすときも、雨が降った時も、動きやすく、快適に。ノルウェーでの暮らしに馴染みやすそうなものが多かった。
ノルウェーでは、「みんなと同じような安全な格好」をするファッション文化が根付いている。フイエル氏の個性的で質にこだわった高級ブランド路線は、ノルウェーの人々の意識を変えつつあることで評価されている。
ファッションショー後は会場が拍手で溢れており、今後の成功が期待できそうだった。
Photo&Text: Asaki Abumi