ローマで雪化粧「東の怪物」襲来で、欧州異常低温
さしずめ、ヨーロッパ版「冬将軍」といったところでしょうか。今「東の怪物」と名のついた大寒波がヨーロッパに襲来し、ガソリン価格が急騰するなど、人々の生活に影響を及ぼしています。
「東の怪物」とは
25日(日)ロシア中部で最低気温が氷点下49.7℃まで下がり、ローマでは10センチの雪が降って6年ぶりに雪化粧に包まれました。またイギリスではガソリンの卸価格が今月はじめに比べ21%も高くなり、寒波の影響はヨーロッパ広範にわたっています。
この寒気は東風にのってシベリアから流れてくるため「東の怪物(the Beast from the East)」と別名がつけられています。
「成層圏の突然昇温」
通常ヨーロッパでは西風(偏西風)が吹くことが多いのに、一体今はなぜ東風なのでしょうか。
それは北欧に中心を持つ大きな高気圧が張り出しているためです。この高気圧のふちを、時計回りの風(東風)が流れているのです。
この高気圧が発達している背景には、空高いところ(成層圏)で起きた急激な気温上昇があるようです。これは「成層圏の突然昇温」と呼ばれ、北極付近の上空の気温が数日で数十℃も上昇する現象です。これが起きると、下層(対流圏)の高気圧の勢力が強まり、風向が一時的に逆転して、ヨーロッパで低温状態になることがあります。
今後の予想
左の表は各都市の最低気温の予想です。モスクワでは平年のおよそ15℃、ワルシャワでも約10℃以上も低い気温が予想されていることがわかります。
その後、ヨーロッパ西部では週後半に寒さが一段落するものの、東部や中部では来週にかけ厳しい寒さが続きそうです。
暖かい北極
北極付近でもおかしなことが起きています。
ヨーロッパはこんなに寒いのにもかかわらず、北極域には暖かな空気が流入し、平年よりも20℃ほど高くなっている場所もあります。
例えばグリーンランドの最北に位置するモリスジェサップ岬では先週、24時間以上にわたって気温が0℃以上の状態が続きました。オランダの気象機関によると、2月に同じことが観測されたのは、観測史上いまだかつて2011年と2017年の2回しかないとのことですから、いまグリーンランドが異常に暖かくなっていることがわかります。
さらに今年に入ってからの北極域(北緯80度以北)の気温は、例年と比べ約6℃も高いのだそうです。今年1月の北極海の海氷面積の平均は、史上最小となりました。
なにやらこの冬、地球全体で寒暖のアンバランスな状態が起きているようです。