台風19号 東京都心でも記録的な大雨
台風19号の発達した雨雲がかかり、一か月に降る雨がわずか一日で降るような、東京都心でも記録的な大雨となる可能性が高い。
台風の動きは幅を持って
台風19号は11日(金)午後3時現在、八丈島の南海上を北上しています。台風の中心と東京までの距離は約800キロ、その間には非常に発達した雨雲が横たわっています。
11日午後、雨は強くなったり、弱くなったりを繰り返しています。これは台風特有の雨の降り方で、台風の反時計回りの風に乗って、雨雲が関東地方にかかるからです。
台風は今後、転向点を過ぎると徐々に速度を上げて、関東・東海地方にかなり接近するでしょう。12日(土)の夕方から夜にかけて、上陸する可能性があります。
予報円はだいぶ狭まってきましたが、必ずしも台風は予報円の中心を通るとは限りません。時間と場所は幅を持って、備えてください。
大量の濁流が市街地に
こちらは11日夜から13日(日)未明までの総雨量を予想した図です。200ミリ以上をオレンジ、300ミリ以上を赤、400ミリ以上を紫で表しています。
★マーク(緑点線)で示した静岡県伊豆半島、神奈川県西部、東京都多摩地方、伊豆諸島、そして新潟県上越では400ミリを超える記録的な大雨が予想されています。また、栃木県北部でも300ミリの大雨です。
河川の上流部で極めて大雨になると、下流にあたる市街地を流れる川に大量の濁流が流れ下ります。山沿いの大雨は下流部の増水を引き起こす、とても危険な雨です。2015年9月の関東・東北豪雨では栃木県日光市周辺の大雨により、下流の鬼怒川の堤防が決壊しました。
都市型水害も
今後、雨は強さを増し、12日は一日を通して大雨となるでしょう。12日の東京は約300ミリの雨が降る可能性があります。一日に降った雨量(日雨量)は昭和33年9月の狩野川台風による371.9ミリが最高で、これまでに200ミリを超えた事例は8例しかありません。そもそも、最も雨の多い月でも一か月に降る雨量は約200ミリですから、滅多にない大雨です。
東京都によると、東京を襲った大水害は昭和22年カスリーン台風、昭和24年キティ台風、昭和33年狩野川台風、平成5年台風11号です。
平成5年(1993年)台風11号では一日で234.5ミリ(大手町)の雨が降り、都内の約2,400棟が床上浸水したそうです。
アスファルトで覆われた都心は降った雨が低い場所に集まりやすい。道路のアンダーパスや地下街、地下駐車場など雨水が流れ込みやすい場所はとくに注意が必要です。
【参考資料】
東京都建設局ホームページ:過去の水害記録~浸水実績図~東京都で過去に発生した水害被害の状況についてまとめたもの