「ウィラ」メキシコ上陸へ 太平洋東部は史上最も活発なハリケーン年
今日台風26号(国際名: イートゥー)が発生しましたが、日付変更線を隔てた太平洋東部では、猛烈な勢力のハリケーン・ウィラが発生し、メキシコに猛威を振るう見込みです。この海域では史上最も活発なハリケーンシーズンとなっています。
台風26号発生
今日(22日)今月初となる台風26号が発生しました。25日(木)頃に「非常に強い」勢力でグアムやサイパンなどに最接近するもようです。その後の進路はまだ定まっていませんが、今週末にも小笠原諸島に影響する可能性があります。
今年はこれまでに15個の台風が日本に接近し、5つが上陸するなど、日本にとっては記録的な台風常襲年となっています。ただし台風の発生数でみると、年平均とほぼ同程度です。
ハリケーン・ウィラ、メキシコ上陸へ
一方で日付変更線を挟んだ太平洋東部では、稀に見る活発なハリケーンシーズンとなっています。現在もメキシコ沖にハリケーン・ウィラとトロピカルストーム・ビンセンテが発生しており、両方とも現地時間23日(火)頃にメキシコ西部に上陸する見込みです。
特にウィラは中心気圧931hPa、最大風速69メートルで、「カテゴリー4(上から2つ目に強い)」の勢力にまで達しています。
史上最も活発なハリケーンシーズン
太平洋東部では今年これまでに22個のハリケーンやトロピカルストーム(台風に匹敵する強さの熱帯擾乱)が発生しています。年平均は16個ですので、それを大きく上回る数です。
さらに10個は「カテゴリー3(最大風速49メートル以上)」かそれ以上の強さまで発達しました。コロラド州立大学のクロツバック博士によると、これは2015年の11個に続き、史上2位タイの記録ということです。
一方で「熱帯低気圧積算エネルギー(ACE)」と呼ばれる、ハリケーンの個数・強さ・寿命などを加味した指標においては、1971年に統計を取り始めてから最も活発な年となっています。
背景に海水温上昇
背景には、潜在的なエルニーニョがあるようです。太平洋東部の赤道付近の海水温は平年よりも高い状態が続いていて、ハリケーンが発達しやすい環境となっています。気象庁は、今秋にはエルニーニョが発生するおそれがあるとしていて、今後さらに太平洋東部でハリケーンが発生する可能性が高まっています。
ハリケーンの名前
ところで、ハリケーンの名前はアルファベット順につけられていて、QとUを除くAからZまでの名前が用意されています。しかしもし、それ以上できてしまったらどうなるのでしょう。
その場合は、ギリシャ語のアルファベットが用いられ、「アルファ(α)」「ベータ(β)」「ガンマ(γ)」「デルタ(δ)」「エプシロン(ε)」「ゼータ(ζ)」…と命名されるようです。これまでの最長記録は、2005年の「ゼータ」です。