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カーショーかシャーザーか?シーガーかベリンジャーか?究極の選択が待ち受ける今オフのドジャース

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今オフは様々な決断を迫られそうなアンドリュー・フリードマン球団社長(左)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【WS連覇の夢を絶たれたドジャース】

 昨シーズンのワールドシリーズ(WS)覇者のドジャースが、ナ・リーグのリーグ優勝決定シリーズでブレーブスに敗れ、2000年のヤンキース以来となるWS連覇達成の夢が絶たれた。

 2000年以降、WS覇者が翌年もWSまで進出できたチームは、2008年のフィリーズしか存在していないことからも、現在のMLBでWSを連覇するのは至難の業だというしかない。

 また今シーズン最多勝を記録したジャイアンツにあと1勝届かず、地区優勝も9連覇で途絶えてしまったが、ジャイアンツに次ぐ106勝を記録したことは評価に値するだろう。

 しかも今シーズンは序盤からケガ人が続出し常に戦力不足の状態が続き、シーズンを通して計63人の選手を入れ替えて戦い抜いた。それでもチーム成績が投打ともに多くの項目でMLBの上位にランクするなど、高いレベルを維持し続けたのは、改めてドジャースの高いチーム力を示しているように思う。

【究極の選択を迫られそうな今オフのドジャース】

 だがドジャースが来シーズン以降も、このまま現有戦力を維持できるわけではない。

 シーズン途中でマックス・シャーザー投手をトレードで獲得した際に、本欄でも年俸30億円以上の投手が4人もドジャースに集まってしまったことを報告しているように、シーズン終了時点のドジャースの年俸総額はMLBでダントツトップの2億8200万ドル(約310億円)まで膨れ上がっており、人員整理は必要不可欠になっている。

 そんな状況下で、今オフのドジャースは、ベテラン先発投手の2人と若手野手の2人に関し、究極の選択を迫られることになりそうなのだ。

【年俸30億円以上の2投手が残留確定?】

 まずベテラン先発投手から見てみよう。

 年俸30億円以上の先発投手4人のうち今オフにFAになるのは、クレイトン・カーショー投手とシャーザー投手の2人だ。つまりトレバー・バウアー投手とデビッド・プライス投手の2人は契約上、チーム残留が確定している。

 今シーズンは女性暴行問題のためシーズンの大半を謹慎していたバウアー投手は、今オフに契約破棄のオプション権を有しているのだが、すでにSNSを通じてチーム残留を示唆しており(現在は削除されている)、そうなれば年俸3200万ドル(約36億円)が保証されることになる。

 またプライス投手も来シーズンが契約最終年となり、年俸3100万ドル(約35億円)が保証されている。さらに若手のウォーカー・ビューラー投手とフリオ・ウリアス投手がすでに年俸調停権を得ており、今後年を追うごとに年俸が跳ね上がっていくのは確実だ。

 あくまでバウアー投手とプライス投手の残留が前提にはなるが、やはり年俸30億円以上の大型契約が必要になりそうなカーショー投手とシャーザー投手の2人と再契約することはほぼ不可能だと見られており、どちらか一方、もしくは両選手とも諦めなくてはならない可能性が高いとの見方が強まっている。

【野手も将来的に年俸30億円以上の選手が3人に?】

 次に若手野手についてだ。

 野手に関しては、現時点で年俸30億円以上を超える選手は1人もいない。ただムーキー・ベッツ選手と2020年に12年、総額3億6500万ドル(約402億円)の契約延長に合意しており、2024年から9年間は年俸30億円以上が保証されている。

 さらに長年チームで主力選手として活躍してきた、コーリー・シーガー選手が今オフでFAになる。彼は今オフの注目FA選手の1人で、同じ遊撃手でやはりFAになるカルロス・コレア選手、トレバー・ストーリー選手、ハビアー・バエス選手、マーカス・セミエン選手とともに、どんな大型契約を結ぶのかで注目を集めている。

 彼らの契約に関しては、今シーズン開幕前にメッツと契約延長に同意したフランシスコ・リンドア選手の10年、総額3410万ドル(約376億円)が指標になるといわれており、シーガー選手も年俸30億円以上の大型契約が必要になりそうな状況だ。

 ただシーガー選手はリーグ優勝決定シリーズに敗れた後、ドジャース残留を希望する発言をしており、彼との再契約は問題さなそうに感じるだろうが、実はそうではない。やはり究極の選択が待ち構えているのだ。

 ドジャースは以前から、2019年のMVP受賞者のコディ・ベリンジャー選手が来オフに年俸調停最終年を迎えることから、FA取得前に契約延長したい意向があると囁かれている。もちろんベリンジャー選手と契約する場合も、年俸30億円以上の長期大型契約が必要になってくる。

 つまりシーガー選手と大型契約で再契約した場合、将来的にドジャースは年俸30億円以上の野手を3人抱えることになってしまうのだ。つまり野手に関しても、シーガー選手とベリンジャー選手の2人をチームに残留させることは、非常に困難だと見られているのだ。

 さらにドジャースは、今シーズンの活躍が顕著だった、ケンリー・ジャンセン投手とクリス・テイラー選手も今オフにFAになるため、彼らとの再契約も検討しなければならない状況にある。

 球界屈指の辣腕家と知られる、ドジャースの編成部門の責任者であるアンドリュー・フリードマン球団社長は、どんな決断を下すのだろうか。非常に注目されるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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