動物10億匹が焼死、ラクダ1万頭は射殺か オーストラリア
北海道の面積を優に超える1,000万ヘクタールの森林が焼失しているオーストラリアで、動物への被害が深刻化しています。
シドニー大学の研究では、10億匹もの動物が犠牲になり、そのうちコアラは25,000匹が焼死したとも伝えられています。
そしてあらたに、多数のラクダにも死の危機が迫っています。ただその理由は山火事でも、飢餓でもなく、射殺によるものです。
ラクダ10,000万頭射殺か
サウスオーストラリア州当局によると、8日(水)からの5日間、10,000頭の野生のラクダを、ヘリコプターからスナイパーが射殺する予定とのことです。ラクダだけではなく、一部の馬なども対象となるそうです。
一体、なぜこのような無慈悲なことをするのでしょうか。
州のアボリジニーの自治体によると、ラクダなどの巨大な野生動物が集落やインフラを脅かしていて、ラクダの頭数管理が必要になったからだと説明しているとのことです。
驚くことにラクダというのは、5キロも先から水のにおいを嗅ぎつけることができるといいますが、そのラクダが水を求め歩き、集落に押し寄せて、フェンスを壊したり、住宅の近くまで侵入したりしているそうです。
このようにラクダは、住民の大事な水を横取りする上に、繁殖能力も高く、10年で2倍も増加する恐れがあるといいます。そうした状況では、殺処分という決定は致し方ないのかもしれないのですが、人間の身勝手さに心苦しさも感じます。
記録的干ばつ
ラクダは6~7か月間も、水を飲まないで砂漠の中を移動できると言われるほど、乾燥に強い動物です。
それにもかかわらず、ラクダが水を求めて集落を襲う背景には、2017年から続く数百年来ともいわれる深刻な干ばつがあります。特に2019年は観測史上もっとも雨が少なく、気温の高い一年となり、状況はさらに悪化しました。
天候回復の兆し
しかし、少しながら明るいニュースが入ってきました。
オーストラリアの少雨と高温の一因とされている、インド洋の海水温の分布に変化が現れているのです。
これまではオーストラリア近海のインド洋東部の海水温が低く、反対にインド洋西部の海水温が高い状態が続いていました。これは「正のインド洋ダイポールモード現象」と呼ばれています。
今回のダイポールモード現象は、観測史上最大級のものでした。この現象下では、海水温の高いインド洋西部で上昇気流が活発となる一方で、東部では下降気流となって高気圧が卓越し、少雨や高温をもたらします。
しかしオーストラリア気象局は先日、このダイポールモード現象が終息したと発表しました。すぐにではないものの、オーストラリアの天候に変化が現れる兆しが見えてきたようです。
追記(1/15):当局によると、5,000頭のラクダが射殺されたもよう。オーストラリアの野生のラクダの頭数は100万頭以上で、世界でもっとも多いという。