WBCクルーザー級タイトルマッチの勝者がカネロ戦を熱望
サウスポー同士の対戦となったWBCクルーザー級タイトルマッチは、イルンガ・マカブ(コンゴ)が、タビソ・ムチュヌ(南アフリカ)を2-1の判定で下してベルトを守った。
両者は2015年5月16日に南アフリカのダーバンで戦っており、この際には、マカブが11ラウンドKO勝ちを収めている。今回は1万2875キロ離れた地、ドン・キングのお膝元であるオハイオ州に移動して、世界タイトルを懸けてのリマッチだった。チャンピオンは、アメリカ合衆国のリング初見参である。
第1戦は激しい打ち合いのなかでボディを攻め、ムチュヌにダメージを蓄積させたマカブの作戦がハマったが、この日もファーストラウンドからクロスレンジでの戦いが続く。
手の内を理解し合っているだけに互いに譲らず、ほぼ互角の展開。前半、ムチュヌのカウンターがヒットするシーンが印象的だったが、どちらかが完全にリングを支配しているとは言えない五分五分のファイトとなる。
7回、インサイドを制した挑戦者の鋭い右アッパーがチャンピオンを捉える。しかし、ピンチを凌いだマカブは翌8ラウンドに強引に前に出て、ムチュヌにロープを背負わせる。
一進一退のまま試合終了のゴングが鳴り、ジャッジ3名はそれぞれ、116-112、115-113、113-115と採点した。筆者は若干チャレンジャー優勢と感じていただけに、ムチュヌは納得がいかないだろう。
23勝(13KO)6敗となった33歳の挑戦者は語った。
「僕の方が手数が多かった。でもジャッジは別の視点でリングを見ていたようだな。マカブのパンチは、まったく効いていないよ」
ムチュヌが米国のリングに上がるのは、この日が6度目だった。
戦績を29勝(25KO)2敗とし、2度目のタイトル防衛に成功した34歳のマカブは言った。
「今夜はノックアウト出来なかったな。俺にどんな戦いをするかを見せたくて、ここまで来た。次はカネロ・アルバレスとやって、ヤツをKOしてやるぜ」
カネロにとってもマカブは面白い相手と呼べそうだ。今回のファイトを見る限り、十二分に勝機があり、かつ、5階級制覇を狙える。
カネロvs.マカブ実現に向け、90歳のドン・キングは本気で動くだろうか。