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日本代表エディー・ジョーンズHC ワールドカップ・サモア代表戦メンバー発表【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
9月25日の練習初頭。クリケットを楽しむジョーンズHC。(写真:ロイター/アフロ)

ラグビー日本代表は10月3日、4年に1度あるワールドカップのイングランド大会の予選プールB・サモア代表戦に挑む。同1日、合宿先のウォリックで出場登録メンバーを発表。エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)がリーチ マイケルキャプテンとともに会見した。

ここまで同プールで1勝1敗、総勝ち点を4とし、5チーム中暫定3位。9月19日の南アフリカ代表戦(ブライトン・コミュニティースタジアム)を34-32で制しながら、続く23日のスコットランド代表戦(グロスター・キングスホルムスタジアム)は落としている。

決勝トーナメントに進む上位2チーム以内に入るには、次戦での勝ち点5奪取(4トライ以上での勝利)がマストとなる。陣営は「勝ち点云々より、目の前の試合に勝つことが大事」と口を揃える。

以下、共同会見中のジョーンズHCの一問一答(一部編集)。

「ワールドカップで最も大切な試合です。パワフルなサモア代表と対戦します。最も強いチームを構成できました。過去最高の経験値を誇ります。怪我の選手もいます。今週、十分な練習を出来なかった選手もいます。でも、それはワールドカップを考えたら当たり前のことです。3戦目です。他のチームには怪我で帰国する選手もいます。ただ、ジャパンは31人全員で土曜にしっかりと戦えます。大きな目標があります。最初の60分しっかり戦って、最後の20分、いい形で帰って来れます。選手たちはこのチャレンジを楽しみにしています。緊張感もあります。以上です」

――どう、勝負するか。

「南アフリカ代表戦と変わりません。ラグビーは衝突するスポーツです。相手の勢いを止めなければいけません。マイボールは、動かします。どのテストマッチにも言えますが、セットプレー(スクラムやラインアウトなど、プレーの起点)も大事です。

相手は、バックロー(フォワードの後列3人)に大きな選手を集めました。相手がどう戦うかに、謎はありません。

相手を倒す。できる限りブレイクダウン(肉弾戦)でファイトする。そして、マイボールの時は相手を動かす。行き当たりばったりではプレーはできません。テンポを速めたり、遅くしたり…そこを理解して戦わないといけません」

――今大会初出場のホラニ龍コリニアシ選手について。

「コリは今大会初めての試合です。大きくフィジカルな選手。こういう試合で力を発揮してくれる。サモア代表戦ではエンジョイしてくれるでしょう。ボールを持てばゴーフォワード。相手がボールを持っていれば、(タックルで)その勢いを止めます」

――1番は稲垣啓太選手。

「仕事量の豊富なプロップです。ジャパンは、タイトファイブ(フォワードの前列5人)の運動量で勝らなければいけません」

――セットプレーでの工夫。

「スクラムは賢く、組まないといけません。ラインアウトでも賢くコンテストしなければいけません。サモア代表戦に向けてサプライズはありません。賢く、フィジカルにやるだけ。それができれば勝てます。できなければ、そういう、結果になるでしょう」

――コンディションは。

「スコットランド代表戦の怪我がある選手もいますが、第一級のコンディショニングを保っています。S&Cやメディカルのスタッフがいい仕事をしています」

――田中史朗選手は最近、全体練習をしていない。怪我をしているのでは。

「若干の怪我を抱えています。昨日は若干の練習をして、今日も、明日もそうです。身体が小さい(身長166センチ)ので、若干の練習で大丈夫です」

――センターのマレ・サウ選手について。

「マレ・サウとツイ ヘンドリック(リザーブのナンバーエイト)。サモアの血が流れている選手が2人います。彼らにとって大きな試合です。マレは、若干、筋肉を傷めています。でもこの数日、いいトレーニングをしています。彼はサモア代表からの誘いもあったが、日本代表で戦うことを決めました。かなり感情を高めています。残りの選手が、それをサポートする必要はあります」

――(当方質問)セットプレーの軸となるロック陣の選考の背景は。

「スターターはキンちゃん(大野均)、トモ(トンプソン ルーク)です。

キンちゃんは96キャップ目。すごいことです。ジャパンとしては、ワールドカップ最年長キャップホルダーとなります。同じ東芝出身の村田亙(現専修大学監督)を抜きます。東芝から何かの電子チップを盗んだからでしょうか。

非常にタフ。だからこそ、選ばれる。彼は、周りにインスピレーションを与える。強い子どもが欲しければ、牧場で育てればいい。毎朝新聞配達をさせて、毎晩ビールを10杯ずつ飲ませる。そこに何か秘密があります。(会見場を見回し)NHKから来られている方はどこですか? ドキュメンタリーで、そのことを究明してください(以上、大野の有名なエピソードに関する冗談)。

トンプソンも活躍する。今回のワールドカップでも活躍していますし、この先、何試合でも活躍してくれると思っています。

プレミア級のロック陣です」

――(当方質問)大会前、ジョーンズHCが期待していたクレイグ・ウィング選手はまだ出番なし。どんな状況なのですか。

「(痛めている)ふくらはぎの状態は、戻りました。アメリカ代表戦(予選プールB・最終戦/11日/グロスター・キングスホルムスタジアム)のセレクションに入るには、もう少し練習参加が必要です」

――スコットランド代表戦で負傷退場したナンバーエイト、アマナキ・レレイ・マフィ選手はリザーブ入り。コンディションと予想出場時間は。

「いい復帰。2日間トレーニングしました。100パーセントの状態ではないが、十分プレーできます。後半、貢献してくれるでしょう。30分ほどだと思います」

――相手のキーマン、フルバックのティム・ナナイ・ウィリアムズ選手への対応。

「素晴らしい選手。ダンスのようなステップをします。1人の選手でカバーするのではなく、彼がボールを持ったら、彼のインサイド、アウトサイドを抑える。すべては、仕事量です。リーチが誰よりも彼のことを知っていると思いますが…(南半球最高峰スーパーラグビーのチーフスでチームメイト)。彼は、何も言いたくないようです。

ここでも、賢いラグビーをやる。アントストラクチャー(攻守が切り替わる瞬間など、互いの組織が乱れた状態)で彼にプレーさせない。彼が何かの判断をしなければならない状態に陥らせたいと思います」

――股関節を痛めていたスタンドオフ小野晃征と、毒魚に噛まれて動けなかったウイング山田章仁選手が復帰。

「山田は魚に噛まれていたのではありません。夢を見ていたのです。魚を踏んだことは踏んだみたいですが、そこまでの影響はありません。2人は軽症。フルトレーニングをしています。ワールドカップ3週目。完全に100パーセントの状態の選手は、ほぼいません。メンタルのタフさで乗り越えるしかない」

――相手が得意とするアンストラクチャー時のプレーへの対応。

「アンストラクチャーの状況を作らないことです。皆さんご存知、トゥシ・ピシもいます(スタンドオフ、サントリーに所属)。おそらく、サントリーの同窓会がおこなわれるでしょう。

左足のステップ、チェイス、グラバーキック…。彼の技は周知のとおり。それを出させない。全員で、スペースをカバーします」

【ラグビーワールドカップ2015 サモア代表戦・出場予定メンバー】

1 稲垣 啓太(8)

2 堀江 翔太(40)

3 畠山 健介(70)

4 トンプソン ルーク(61)

5 大野 均(95)

6 リーチ マイケル(45)=キャプテン

7 マイケル・ブロードハースト(24)

8 ホラニ龍コリニアシ(42)

9 田中 史朗(51)

10 小野 晃征(30)

11 松島幸太朗(14)

12立川 理道(41)

13 マレ・サウ(25)

14 山田 章仁(14)

15 五郎丸 歩(55)

16 木津 武士(39)

17三上 正貴(31)

18山下 裕史(47)

19 アイブス ジャスティン(31)

20 アマナキ・レレイ・マフィ(5)

21 ツイ ヘンドリック(34)

22日和佐 篤(49)

23 カーン・ヘスケス(12)

※()内はキャップ(国同士の真剣勝負への出場)数

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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