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ノーヒッター達成の「ルーキー」は大成しているのか。エンジェルスのデトマーズは25人目

宇根夏樹ベースボール・ライター
チャド・ウォラック(手前)とリード・デトマーズ May 10, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月10日、リード・デトマーズ(ロサンゼルス・エンジェルス)は、タンパベイ・レイズを相手にノーヒッターを達成した。

 22歳のデトマーズは、メジャーリーグ2年目のルーキーだ。昨年8月にデビューした。MLB.comのエド・イーグルは、ノーヒッターを達成したルーキーとして、25人を挙げている。これは、新人王資格に当てはめて、ルーキーかどうかを判断したのだと思われる。新人王の選出は、1947年に始まった。なかには、デトマーズのように、メジャーリーグ1年目ではない投手もいる。

筆者作成
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 継投によるノーヒッターを除くと、ここ2度の達成者はどちらもルーキーだ。昨年8月14日に達成したタイラー・ギルバート(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)は、この試合が初先発だった。

 ギルバートとデトマーズの前にノーヒッターを達成した23人のルーキーのうち、大投手と呼べるのは、殿堂選手のクリスティ・マシューソンとサイ・ヤング賞投手のバイダ・ブルーくらいだろう。通算150勝以上も、この2人とバート・フートンしかいない。

 一方、通算20勝未満は6人を数える。ボボ・ホロマンバド・スミスの完投は、ノーヒッターの1度だけだ。バンパス・ジョーンズの完封は皆無。メジャーリーグ初登板の1892年10月15日に達成したノーヒッターは、1失点だった。ノーヒッターながら、ノーヒット・ノーランではない。

 もっとも、23人中10人は、通算100勝以上だ。ホゼ・ヒメネスは24勝ながら、110セーブを挙げた。最優秀防御率のタイトルは、5人が獲得している。直近のアニバル・サンチェスは、2013年にデトロイト・タイガースで防御率2.57を記録した。クレイ・バックホルツは、タイトルこそないものの、サンチェスの3年前にボストン・レッドソックスで防御率2.33。この数値は、フェリックス・ヘルナンデスの2.27に次ぎ、ア・リーグで2番目に低かった。

 オールスター・ゲーム選出は9人。オールスター・ゲームが始まった1933年以降に投げた、18人の半数を占める。

 また、マシューソン、ドン・ウィルソンスティーブ・バズビーの3人は、2度目のノーヒッターも達成している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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