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日本で話題の「腹筋女子」と「くびれ美人」。韓国でも人気だが、最近は警鐘を鳴らす声も・・・

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国の腹筋女子と言えば、レイヤンが有名だ。(写真:ロイター/アフロ)

この夏、日本で話題を集めている「腹筋女子」ブーム。中村アンやローラ、榮倉奈々や松岡茉優などタレントや女優がその火付け役と言われており、最近は「おなか美人」や「くびれ美人」なる代名詞も登場しているが、韓国でも「ポックンニョ(=腹筋女)」や「くびれ美人」が持て囃されている。

■韓国で有名な「腹筋女子」と「くびれ美人」は誰か

韓国で今、最も有名な「腹筋女子」は今や女優としても活躍とするようになったレイヤンだろう。もともと“脱アジア級の完璧ボディ”と呼ばれるフィットネス・タレントでもある彼女は、トレーニング後の写真を自分のインスタグラムなどに定期的にアップする。まさに日本の「腹筋女子」ブームに火をつけた前出のタレントたちと同じだ。

(参考記事:“脱アジア級スタイル”で知られるレイヤンのインスタグラムがスゴい!!

韓国では「くびれ美人」のことを「Sライン美人」と言う。「Sライン」とは、胸が出ているのにウェストか引っ込んでいてお尻が出ているというグラマラスなボディを「S」に見立てて生まれた造語だ。

韓国では数年前から「Sライン・ダイエット」「Sライン・フィットネス」といったタイトルがついたダイエット本やフィットネス・プログラムが放映されている。“才色兼備の美肌ピラティスト”ヤン・ジョンウォンは今、その美しいボディラインから多くの女性たちの憧れで、「健康美とロマンチックなセクシー美を同時に表現できる女性」とまで言われている。

“マッスル美女”ブームの火付け役となった ユ・スンオクも、“グラマラスSライン”、“国宝級Sラインの持ち主”と呼ばれることが多い。

もっとも、腹筋やSラインが最もニュースになりやすいのは、K-POPガールズグループたちでもある。肌の露出が多い衣装に身を包むだけではなく、ボディラインの美しさを強調した立ち姿やセクシーパフォーマンスを披露するのだからそれも当然かもしれない。

彼女たちはミュージックビデオやステージでもその美ボディを惜しげもなく披露するので、自身のSNSなどで自撮り写真をアップせずとも、その腹筋やくびれが話題になる。最近は、女性アイドルたちにも美ホディであることが必須条件になっていると思えるくらいだ。

(参考記事:K-POP女性アイドルたちの腹筋がスゴイ!! 写真で見る6大女神の美ボディとくびれの秘訣

■拒食症で活動を中断したガールズアイドル

ただ、美ボディへの関心と話題の高さから生まれる弊害もある。8月25日、ガールズグループ『OH MY GIRL』のメンバーであるジニが、深刻な拒食症を理由に芸能活動を中断することを発表したのだ。

『OH MY GIRL』は2015年にデビューした8人組ガールズグループ。今年4月には腹筋をチラ見させるミニスカート姿でミニアルバムを発表していたが、ジニは無理なダイエットを繰り返してかなり以前から拒食症だったという。美ボティへの強迫観念が彼女を追い詰めたのではないかと言われており、昨日から韓国ではちょっとたしたニュースになっている。

慶熙(キョンヒ)大学・社会学科の女性主義学術共同体の公式フェイスブックには、こんな書き込みもあった。

「ガールズグループのスタイルや体型への露骨な品評や、所属事務所の絶え間ない要求、ネットにあふれる芸能人たちのビフォー&アフターの写真。韓国社会は、すべてのガールズグループの女性たちに拒食症になれと強要している」

健康志向への高さからダイエットやフィットネスへの関心が高く、最近は空前の“マッスル・ブーム”に沸く韓国。“腹筋女子”や“くびれ美人”だけではなく、“マッスル美女”たちが一堂に集結するマッスル美女コンテストの模様は圧巻だ。女らしさを保ちつつ日々のトレーニングで鍛えた“褐色の美ボディ”は、華やかで健康的にも映る。

(参考記事:写真20連発!! 韓国ソウルで行われた“マッスル美女”たちの大会がド迫力!!

ただ、割れた腹筋や美しいくびれを手にするために、行き過ぎたダイエットや無理なトレーニングを重ねてしまっては、健康になるどころか百害あって一利なし。今回のジニの拒食症ニュースもあって、「拒食症になることを勧める韓国社会。芸能人だけの問題ではない」(『ノーカットニュース』)と、見た目ばかりを気にする韓国社会に警鐘を鳴らすメディアも出てきている。

縦横にバッギバキに割れた腹筋作りも良いが、何事もホドホドなのがちょうど良い。日本の腹筋女子たちもひとつの参考にすべきだろう。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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