アジアVの侍戦士や女子エース、小さな町の逸材候補ら一堂に集結。異例の全試合ライブ配信も
11月2日から静岡県で行われる第19回全国中学生都道府県対抗野球大会in伊豆。これまでKボール野球選手権、KB野球選手権、KWB野球選手権と名称を変えながら夏と秋に開催してきた大会が昨年から統合。丸佳浩(巨人)や上沢直之(日本ハム)、銀次(楽天)らを多くの選手たちが高校野球やプロ野球などに活躍の幅を広げていったこの大会に、今年も将来が嘱望される中学軟式球児が多く出場する。(同大会出身のプロ野球選手)。
侍戦士8人に、全中8強の女子エースも参戦
第10回BFA U-15アジア選手権で日本勢初となる連覇と海外開催大会での優勝を果たした侍ジャパンU-15代表から8名の選手が出場。
中でも田栗慶太郎(長崎県選抜)は、侍ジャパンU-12代表にも選出。アジア選手権では2番や3番といった上位打線を任された。182cm74kgの体格もある大型内野手で将来が嘱望されている。
センターラインの守備を二塁手として支えた大森駿太朗と中堅手として支えた小林洸貴は千葉ファイターズの一員として出場。小林はU-15代表をまとめた抜群の統率力にも期待がかかる。
また、第41回全国中学校軟式野球大会で8強入りに貢献した女子投手の本橋未菜も埼玉オールスターズの一員として出場。男子選手を相手にどのような投球を見せるのか注目だ。
【今大会に出場する侍ジャパンU-15代表の選手たち】
近藤大誠(新潟県選抜)、石井羚(伊豆少年野球団)、田栗慶太郎(長崎県選抜)、大森駿太朗、小林洸貴(ともに千葉ファイターズ)金田優太、青山廣大(ともに埼玉オールスターズ)、鈴木崇之(山梨クラブ)
全試合ライブ配信
昨年の大会を制した宮崎県選抜は、今年も県全域から地区選考会、最終選考会を経て選ばれた14名の精鋭たちが日本一を狙う。
かつては武田翔太(ソフトバンク)らを輩出。今年のチームの指揮を執る塩月貴史監督は高校野球に繋がる指導を、宮崎の中学球児の代表としての自覚や振る舞いを意識させた上で行っている。
主将を務める平野健斗は、富島中では3番を打つが、この選抜では下位打線を任される。「みんな上手いのでレギュラーになれるのかギリギリ。一球に対する気持ちが変わり、レベルアップをしました」と成長を実感。大会に向けては「一人ひとりが輝く野球をしたいです」と抱負を語った。
宮崎県最南端の串間市から車で2時間かけて通う林藍斗(投手)と鬼塚海士(捕手/選抜では一塁手で中軸を打つことが濃厚)の串間中の2選手は、学校の枠組みを超えた交流ができるとあって「楽しいです」と口を揃えた。
このように普段とは異なる刺激があることや、個々の能力さえあれば多くの中学軟式球児に全国大会の門戸が広く開かれている意義は極めて大きい。
また、中学年代の大会として異例なのは全試合がライブ配信され、アーカイブも残ることだ(決勝トーナメントはJ SPORTSオンデマンドでもライブ配信/決勝戦はJ SPORTS2で録画放送)。
志太勤会長(一般財団法人中学生野球連盟/シダックス株式会社取締役最高顧問)が昨年の大会を終え「配信はコスト、マンパワーともにかかるが、晴れやかな舞台でプレーを見せること・見られることは必ず中学生の成長に繋がるし、チームの地元の人たちがだいぶ視聴してくれた。応援メッセージもたくさん届き、非常に盛り上がった」と話していたように継続。
そして今年は「全国の中学生の目標となる大会とし、それを支える“ファミリー”の拡大」を目的とし、クラウドファンディングも実施。目標額の1,000,000円を上回る1,253,000円が集まるなど、さらなる発展にも力を注いでいる。
充実の環境の中、中学野球3年間最後のビッグタイトルを目指す選手たち。その躍動に期待するとともに、普段の学校生活とは異なる刺激を得て、どんな成長を遂げていくかにも大きな注目をしていきたい。
大会の成り立ちや昨年の大会は下記の記事にて詳細。