“セクシーすぎるウグイス嬢”が12年ぶりプロ野球に本格復帰していた!「くふうハヤテ」で選手をコール
かつて球界で一世を風靡した“セクシーすぎるウグイス嬢”を覚えているだろうか。
その彼女の名は、藤生恭子さん。2008年から5年間、オリックス・バファローズのファーム主催戦で場内アナウンスを担当。艶めかしい吐息交じりの声で選手名を読み上げるのが2010年頃からネット上を中心に話題となり、自身のブログが当時トップアイドルだったAKB48に匹敵するほどのアクセス数を稼ぐなどした。
吐息交じりの声、本来は……
2012年限りでオリックス球団を退職。以降はもともと自身が設立していたアナウンサーの養成、派遣業務を行う「ベースボールプランニング」代表を務める傍らで学生野球や社会人野球の場内アナウンスを年間に少しと、フットサルやJリーグ、VリーグやBリーグなど多岐にわたるスポーツの現場を「声」で支えてきた。
「息が抜けるような喋り方って、アナウンスの世界では良くないとされているんです。だけど私はその喋り方の方がやりやすくて、正直、自然とそうなっているんです。プロ野球は興行なのでいいですけど、高校野球とか社会人野球はそうはいかないじゃないですか。だからメチャクチャ意識して『ちゃんとやらなきゃ』って(笑)」
くふうハヤテ球団社長との意外な縁
兵庫県生まれ。普段の喋り口調はハキハキと元気な関西弁だ。母親が元NHKのアナウンサーだったが、自身はもともと声の仕事に就きたかったわけではなかったという。とにかく野球が大好きだった。大学時代は野球部のマネジャーになり、卒業後はスポーツ新聞社でも働いた。「ただ、とにかく野球に関係する仕事がしたかった」。その一心で、2005年より四国アイランドリーグ・高知ファイティングドッグスのボランティアのような形で球団業務に携わるように。その仕事の中の1つがスタジアムでのアナウンスだった。
当時高知ファイティングドッグスの球団職員の同僚だったのが、現在はくふうハヤテベンチャーズ静岡の池田省吾社長だった。池田社長からのオファーにもちろん快諾。
「NPBで本格的にアナウンスをするのはオリックスを退職して以来なので12年ぶり。プロ野球の試合の流れってこんな感じだったなと思い出しながらやっています」
ちゅ~るスタジアム清水をはじめくふうハヤテの主催試合をあの時と変わらぬ艶めかしい声で支えている。藤生さん自身が来られない時は「ベースボールプランニング」から派遣している。
12年経っても変わらぬ艶めかしさ
5月25日、26日のちゅ~るスタジアム清水でのくふうハヤテ対ソフトバンクのウエスタン・リーグ公式戦は2連戦とも担当した。次々と選手名が読み上げられるスタメン発表はつい聞く耳を立ててしまう。選手名の最後の母音が「あ」の段のときが最も息が抜けていてセクシーに聞こえるような気がした。
「やっぱり野球の現場は楽しいです。今の若い選手たちは以前私がいた頃を知らないのでビックリしたかもしれませんが、今コーチをやられている方とか声を聞いて球場の放送室を訪ねてくれたこともありました」
ところで、プロ野球のファームリーグ拡大に伴って、NPBとしては66年ぶりの球団数増加でウエスタン・リーグに参入して戦っているくふうハヤテベンチャーズ静岡。ほぼ準備期間もない中でチームが生まれ、さらに2軍リーグということもあり認知度はまだ低く、観客動員はまだまだ苦戦しているのが現状だ。先のソフトバンク戦も週末開催だったが、観衆はいずれも800人台にとどまった。
画期的なファンサービス。「選手バス」が無料シャトルバス
当然プロ野球なので熱い試合や選手の懸命なプレーで多くのファンを呼び込みたいところだが、ファンに足を運んでもらう施策は決してグラウンド内にとどまることはない。
球団も一歩一歩だが、ファンサービスの形を整えようと尽力している。ソフトバンク戦では新たな試みも行った。以前から清水駅東口からちゅ~るスタジアム清水までの無料シャトルバスを運行させているのだが、その車両になんと「選手バス」を投入したのだ。くふうハヤテはNPB12球団ほどの資金力がないため、ウエスタン・リーグでも名古屋(中日戦)と関西地区(オリックス戦、阪神戦)の遠征はチームバスで移動している。普段は選手が乗るバスを、ホームゲーム中はチームが利用しないのでファンのために使おうというわけだ。
言うまでもなく、この取り組みはファンに大好評だった。筆者も実際に乗車した。バスも長距離遠征に対応するため、通常55席あるのを40席に絞っており、座席間隔にも余裕があり乗り心地は抜群だった。また、内装もなかなか豪華な仕様となっていた。
球団関係者によれば近いうちに球団ロゴなどを車体にラッピングする予定だという。また、車内アナウンスを首脳陣や選手に吹き込んでもらう計画もあるようだ。「声」ならば、そこには藤生さんもぜひ入れるべきだろう。既存の球団ではなかなか出来ないような取り組みを、これからのくふうハヤテには期待したいところだ。
(※写真はすべて筆者撮影)