気になる新作マンガ「この復讐にギャルはいらない」 陰キャ殺し屋×ギャルの「すれ違い」ラブコメ
コミックスの国内市場規模は約6800億円(2021年、出版科学研究所調べ)と好調ですが、作品が山ほどあってどれを手に取るべきか迷う人も多いのでは。そこで、実際に読んで気になった作品を独断で取り上げてみます。今回は、まの瀬さんの「この復讐にギャルはいらない」(白泉社)です。
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殺し屋としての過去があるものの、今は高校生として暮らしている主人公・橿原ノゾミが、クラスのギャル・新宮レオナに興味を持たれるラブコメディー。主人公はレオナから「カッシー」と呼ばれて接近されるのですが、主人公は、レオナに引かれながらも、自分を狙う「組織の刺客」と考えてしまいます。
第1話では、チンピラに絡まれたレオナに助けを求められて、反射的に殺し屋のスキルを発揮してノックアウト。お礼にお茶に誘われるものの、主人公は、陰キャの自分が陽キャのギャルから誘われるはずはない……ワナでは?と警戒します。店では、刺客に容易に狙撃されないために窓際に座らず、注文する食べ物にも注意を払う……という具合。その上、自分の行動に対して「キモくないか?」などと、陰キャ全開のモノローグが入ります。ですが杞憂で、レオナの反応は実に好意的なもので……。
各キャラの読みが外れ、そのまま勘違いして進む展開が多く、ちょっとした「すれ違いコント」のような面白さがあります。
1話のつかみは巧みで、オチにも苦笑。2話以降もキュンキュンとラブコメ色が出ており、あからさまなギャルの好意に対して戸惑ったり、殺し屋の素性をばらしそうになる主人公。ある種の隙(すき)ですが、ボロの出し方は笑ってしまいます。今風にいえば、お互いの正体がバレそうでなぜかバレない「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」的な面白さという感じでしょうか。
もちろん、ヒロインのギャップも魅力的で、見た目はギャルでも純朴な面を見せてくれます。さらに「名探偵コナン」的な演出を感じさせるパロディーもニヤリとさせてくれます。1巻の最後では、三角関係?の予感も。
なお、コミックス1巻の帯にある「推薦」は、「みつどもえ」や「僕の心のヤバイやつ」の桜井のりおさんでした。桜井さんが「その美しい一瞬と何気ない日常がいとおしい作品」とつづっていますが、その通りですね。
※1・2話試し読みページあり