バルサとレアル・マドリーの運命を決する「クラシコ」に?メッシの爆発とジダンの解任の可能性。
「世界が止まる一戦」が、行われる。
リーガエスパニョーラ第7節で、バルセロナとレアル・マドリーが対戦する。バルセロナの本拠地カンプ・ノウで開催される試合が、今季のラ・リーガの趨勢に影響を及ぼすのは間違いないだろう。
■ジダンの解任の可能性
厳しい状況に立たされているのは、マドリーだ。リーガエスパニョーラ第6節でカディスに、チャンピオンズリーグ・グループステージ第1節でシャフタール・ドネツクに敗れ、連敗を喫した。ジネディーヌ・ジダン監督の続投について、2万9232票が集まったスペイン『マルカ』のアンケートでは、59%が「クラシコの結果次第」だと答えている。
今季、マドリーは負傷者が続出している。エデン・アザール、ダニ・カルバハル、マルティン・ウーデゴール、セルヒオ・ラモスといった選手が次々に負傷離脱した。とりわけ、ジダン監督の痛手となっているのがカルバハルの不在である。
カルバハルは昨季、8アシストを記録した。それはチーム3番目の数字だった。守備面においても、ロドリゴ・ゴエス、マルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケス、フェデリコ・バルベルデと右ウィングに多くの選手が起用される中で安定感を保っていた。
この夏、アクラフ・ハキミをインテルに売却したマドリーにとって、カルバハルの長期離脱は想定外だったはずだ。ジダン監督はフランス代表に倣いフェラン・メンディを右サイドバックに据えるという策を講じたが、これが当初からのプランであればセルヒオ・レギロンをトッテナムに放出するべきではなかった。
そして、この夏のマドリーの補強はゼロだった。サンティアゴ・ベルナベウの改修工事で資金を蓄えておく必要があったとはいえ、このシーズン序盤の戦績ではマドリディスタの不満が募るのは当然だろう。守備力だけではなく、現在のチーム内得点王がヴィニシウス・ジュニオール(3得点)だという事実に顧みれば、マドリーの攻撃力が不足しているのは明らかだ。
■揺れるバルセロナと再建
一方のバルセロナはクラブ内のゴタゴタが続いている。
リオネル・メッシの退団騒動後、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長と現理事会をめぐる「※mocion de censura/モシオン・デ・センスラ」と呼ばれる不信任動議への動きが活発化した。署名活動の結果、必要数1万6521名を超える署名が集まり、11月中に現体制の進退を問うソシオ投票が行われる見込みだ。加えて、現在、選手たちの30%のサラリーカットを望むクラブが彼らと対立している。
そのような中で、ロナルド・クーマン監督はチームをよく立て直したと言える。今季開幕の段階で状況はマドリーより悪かった。アシスタントコーチのアルフレッド・スロイデル、ヘンリク・ラーションと協働してオランダ人指揮官は選手たちをうまくマネジメントしている。
これまでのクラシコ、そして今季のバルセロナにおいて、大きな違いはルイス・スアレスの在/不在だろう。スアレスは過去クラシコで16試合11得点。欧州の舞台、特にアウェー戦で得点がなく批判を浴びていたスアレスだが、彼の決定力は本物だった。
対して、メッシはクラシコで440分間ノーゴールが続いている。最後に得点をマークしたのは2018年5月6日だ。ただ、それ以前を含めれば43試合で26得点を記録している。口火を切れば、再びネットを揺らす日々が訪れるだろう。
今季、クーマン監督はバルセロナの布陣を【4-3-3】から【4-2-3-1】に変更している。メッシはファルソ・ヌエベ(偽背番号9/ゼロトップ)に置かれ、守備の負担が軽減された。メッシとスアレスの「前残り問題」は自然と解消され、バルセロナは前線からの連動したプレッシングで組織的なフットボールを披露している。
また、クラシコではアンス・ファティ、ペドリ、フランシスコ・トリンカオといった若い選手が鍵を握るかも知れない。とりわけ、アンス・ファティには注目だ。トップデビュー以降、38試合12得点で、139分毎に1得点を挙げてきた。今季は5試合4得点(73分毎に1得点)でチーム内得点王になっており、勢いに乗っている。
連敗中のマドリーと、立て直してきているバルセロナ。だがクラシコでは、予想を超える結末が待っているものだ。マドリディスタとバルセロニスタが手に汗を握る展開と、遠隔から見守る観衆が満足するようなスペクタクルを期待したい。
※2つ目のoの上にアクセント