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大谷翔平を凌ぐ二刀流の強打者現る!? 打率4割&4本塁打の「ヤミーネーター」がDH解除でマウンドへ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヤミーン・マルセイディス(シカゴ・ホワイトソックス)Apr 14, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シカゴ・ホワイトソックスのルーキー、ヤミーン・マルセイディスは、開幕から8打席続けてヒットを打ち、15試合に出場した時点でも、4割台の打率を維持している。しかも、ただの安打製造機ではない。8安打中、二塁打が2本、ホームランが1本。現時点の23安打における長打は、二塁打とホームランが4本ずつだ。誰が言い出したのかはわからないが、「ターミネーター」をもじり、「ヤミーネーター」と呼ばれ始めている。

 今シーズン15試合目の出場となった4月19日も、マルセイディスはDHとしてスターティング・ラインナップに名を連ねた。最初の14試合は、DHが13試合、代打が1試合。マイナーリーグでは捕手の他に内外野の両コーナーも守っていたが、メジャーリーグでは一度も守備についていなかった。昨年8月の1試合――今シーズンの開幕戦が通算出場2試合目――も、代打だった。

 だが、7回裏、マルセイディスは意外なポジションについた。DHを解除し、マウンドに上がった。

 ここで100マイルの速球を投げれば、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)に匹敵する二刀流の登場となるところだ。けれども、さすがにそうはいかなかった。スタットキャストによると、最速でも90マイルに届かず、87.7マイルにとどまった。

 打者7人に計32球を投げ、その結果は、四球、遊撃ライナー(併殺)、二塁打、単打、単打、四球、ライト・フライ。1失点で6対11とされ、8回表に遊撃ゴロを打った後、こちらも本来は内野手のダニー・メンディックにマウンドを譲った。言ってみれば、通常の野手登板だ。

 とはいえ、野手であるにもかかわらず、初の守備出場が投手というのは、極めて異例だ。MLBアナリストのライアン・M・スペイダーは、1936年9月20日のディー・ムーア以来とツイートしている。初登板の前に、ムーアは代打として3度打席に立ち、いずれもアウトに仕留められた。

 なお、開幕戦のマルセイディスとそれまでの歩みついては、こちらで書いた。

28歳のルーキーが、20世紀以降初の「初スタメンで5打数5安打」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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