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優位の木村一基王位、逃げ切れるか? 藤井聡太七段の残り時間は10分を切る 王位戦七番勝負第2局2日目

松本博文将棋ライター
写真撮影:悟訓

 7月14日。北海道札幌市・ホテルエミシア札幌においておこなわれている第61期王位戦七番勝負第2局▲木村一基王位(47歳)-△藤井聡太七段(17歳)戦は2日目の戦いが続いています。棋譜は公式ページをご覧ください。

 67手目。木村王位は飛と香の二段ロケットを発動させ、藤井陣三段目に香を成り込みました。これでもう決まったようにも見えます。

 しかし藤井七段は用意の勝負手を放ちました。それが成香の上からかぶせる、飛車取りの香打ちです。これでそう簡単に藤井陣は崩れません。

 藤井七段はややがっかりしているようにも見えます。形勢はやはり非勢と判断しているのでしょう。

 とはいえ香打ちの勝負手は、さすが藤井七段と思わさせられます。わるいながらも局面を複雑化させ、そう簡単には土俵を割りません。

 69手目。木村王位は21分を使い、じっと歩を打ちました。これが落ち着いた対応のようです。短気に決めようなどとは決してせず、着実にリードを保ちます。

 対局室のマイクは、藤井七段が閉じたままの扇子をくるくると回したり、一つ開いたり閉じたりする音を拾います。これが藤井七段が読みを進める上でのリズムのようです。

 79手目。木村王位は端歩を突き、端に出てきた藤井七段の金を詰ませます。藤井七段が口に手をあてる仕草は、やはり苦しそうです。

 8時間の持ち時間をほとんど使い、藤井七段は残り10分。対局室には広森三段の秒読みの声が響くようになりました。

 対して木村王位は残り38分。比較的余裕があります。

 18時を過ぎた現在、局面は86手目、藤井七段が銀を四段目に進んだところです。夕食休憩はなく、このまま終局まで指し続けられます。形勢は依然、木村王位優勢です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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