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サンウルブズのフィロ・ティアティアヘッドコーチ、報道陣にした要望とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
元ニュージーランド代表ナンバーエイト。日本のトヨタ自動車でもプレー経験あり。(写真:アフロスポーツ)

国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズは2月18日、壮行試合をおこなう。福岡・ミクニワールドスタジアム北九州のこけら落としとして、トップリーグ選抜とぶつかる。16日、北九州市内での練習後、フィロ・ティアティアヘッドコーチが取材に応じた。

2月1日に50名のスコッドで始動したサンウルブズだが、いまはコンディションの観点から稲垣啓太、木津武士、梶川喬介、真壁伸弥、布巻峻介、松島幸太朗、矢富勇毅、田村優、笹倉康誉といった日本代表経験者が揃って一時離脱しており、マイケル・ボンド、アタアタ・モエアキオラは合流前。北九州へは、追加招集された浅堀航平を含めた40人が残っている。

浅堀を含めた9選手は対するトップリーグ選抜に合流し、ティアティアヘッドコーチのもとでは31名が調整中。壮行試合のメンバー発表がされたこの日、指揮官は報道陣にポジティブな質問を求めた。

以下、一問一答の一部(編集箇所あり)。

――開幕まで時間が差し迫っている。

「メンバーのセレクションはほとんど終わっている。ただ、ポジションによっては完全に決めきれていないところがある。まだ、競争をさせている段階です。どのポジションかは言えませんが、何人かの選手を『スーパーラグビーレベルなのか』と試している状態。サプライズもあるかもしれません。(トップリーグ選抜戦では)全選手のパフォーマンスを観たい。それぞれが役割を理解しているところ、プレッシャーのかかるなかでもスキルを発揮すること。それは徹底したいです」

――当日の選手の振り分けについて。まずはティアティアヘッドコーチがサンウルブズでプレーさせたいメンバーを指定し、トップリーグ選抜へ回る選手が決まっていったとのことですが。

「セレクトはしました。これからプレーして欲しい選手を揃えました。大人数のスコッドで、全員にゲームタイムを与えたい。全員が(レギュラー入りへ)手を挙げる機会を作ったつもりです。選手にとってはいい機会だと思います」

――前年度に続き、プレシーズンゲームに紅白戦に近い試合しか用意されていません。

「ジェイミー(・ジョセフ日本代表ヘッドコーチ、今回はトップリーグ選抜を指揮)とは、準備段階でその話をしています。ただ、来週(スーパーラグビーの開幕節)で誰がプレーするのかはクリアに考えている。相手がどうプレーするのかを踏まえ、こちらはプランニングしている」

――両ウイングは中づる(雨冠に隹・鳥の順)隆彰選手と後藤輝也選手。売り出し中の快足選手です。

「楽しみ。プレーが待ち切れないです。今回は両チーム通じて、スーパーラグビーでプレーしたことのない選手もいっぱい、揃っています。皆にとって素晴らしい機会です。力を発揮してくれるのを心待ちにしています」

2月25日の開幕節では、前年度王者のハリケーンズとぶつかる(東京・秩父宮ラグビー場)。今回の論旨に沿えば、オープニングゲームへのメンバー争いでは18日のサンウルブズ側の先発組が一歩リードといったところか。

ここで気になるのは、現在離脱している主力候補の状況だろう。公式発表では「コンディショニング調整のため」とあるが、実際はどんな状況なのだろうか。取材機会でもその話題に及んだ。

――9選手が離れた経緯と現状をお聞かせください。

「まぁ、怪我をしているなど、完璧な状態ではない。これがスポーツの現実です。どんなビジネスでもそうですが、何があっても前に進むしかない。いる選手を起用する。いない選手にはまず身体を整えて戻ってきてもらう。そしてそこへ、何が必要なのかをこちらが与えていく…」

――離脱を発表された選手は、開幕節も間に合わないのですか。

「いま、は、怪我をしている状態。ただ、来週に診察をして、メディカルのレポートを受けどんな状況かを判断していきます。…きょうは『ハリケーンズ戦、どんな若い選手が活躍するか』という質問が少ないように感じました。明日(試合前日練習後)は、もっとエキサイティングな質問が来ることを期待します」

サンウルブズの北九州合宿を視察したトップリーグ関係者によれば、「各コーチが練習をリードして、ティアティアが要所、要所で言葉を。いい雰囲気」。来日3年目で初のスーパーラグビー挑戦が叶うスタンドオフのヘイデン・クリップスは、トップリーグ選抜戦での先発に向け「ジャージィが欲しいと手を挙げてきた」と笑顔だ。

難敵とのオープニングゲームを前に、指揮官は前向きであろうとする。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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