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島本投手が今季初先発!カープ打線をシャットアウトした阪神ファーム《5/16》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
今季ファーム初登板初先発の島本投手。試合後の野球教室ではリラックスした笑顔です。

きのう16日、阪神ファームは淡路佐野運動公園第1野球場(通称:ボールパークあわじ)でウエスタン・広島戦に臨みました。明け方に激しい雨が降り、いったん上がったものの試合序盤までは雨模様。でもグラウンドの状態は問題なく、最後まで無事に行われています。

10日に出場登録を抹消された島本投手がファームで今季初登板。先発だったのは、長いイニングを投げて修正点をクリアしていくための先発だったようですね。初回のピンチをしのいだ後はしっかりと抑え、開幕から1軍にいて競った試合で何度も投げた経験を、小虎ファンの方々の前で見せてくれました。

森越選手の果敢な守備が助け、荒木選手柴田選手のヒットで援護して、救援陣のパーフェクトリリーフにより、島本投手が『背番号69』での初勝利!またが14日のソフトバンク戦から2試合連続で完封リレーを演出した小豆畑捕手にも拍手です。

試合後には、すっかりお天気も回復したグラウンドで恒例の野球教室が行われました。その様子は、これまた恒例の“賞品”(お米やら玉ねぎやら)の話と合わせて後日お伝えしますので、お楽しみに。

《ウエスタン公式戦》5月16日

阪神-広島 11回戦 (淡路)

広島 000 000 000 = 0

阪神 020 000 00X = 2 

◆バッテリー

【阪神】○島本(1勝)-桑原-鶴-二神 / 小豆畑

【広島】●今井(1勝1敗1S)(6回)-佐藤(2/3回)-池ノ内(1/3回)-江草(1回) / 中村亘

◆二塁打 荒木

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:柴田  (3-2-1 / 0-1 / 0 / 0) .345

2]右:緒方  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .187

3]二:北條  (3-1-0 / 2-1 / 0 / 0) .252

4]指:江越  (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .295

5]三:森越  (2-0-0 / 0-2 / 0 / 0) .300

6]中:横田  (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0) .170

7]一:荒木  (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .095

8]捕:小豆畑 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .191

9]遊:植田  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .200

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

島本 5回 76球 (3-6-1 / 0-0 / 0.00) 143

桑原 2回 16球 (0-2-0 / 0-0 / 1.74) 144

鶴  1回 8球 (0-0-0 / 0-0 / 4.82) 141

二神 1回 14球 (0-0-1 / 0-0 / 1.40) 143

鮮やかに先制、3安打完封

島本は1回、先頭の赤松に左前打され2番・庄司は四球、グスマンを二飛に打ち取って1死一、二塁で4番のエルドレッドを迎えます。カウント1-2からの5球目を打ち、痛烈な当たりが三塁へ!これを体で止めた森越はすぐに捕って一塁へ送球するもセーフで1死満塁。しかし抜けていれば間違いなく先取点を許していたであろうところ。ゲームの流れを左右するナイスプレーです。

満塁にはなりましたが、森越の守備に応えた島本は連続三振で無失点!2回も2三振を奪うなど三者凡退。3回は2死からグスマンに左前打されるも、エルドレッドは三ゴロ。4回と5回はともに三者凡退に仕留め、5回3安打無失点で交代しています。

二塁打賞とヒーロー賞を獲得した荒木選手。野球教室での笑顔です。
二塁打賞とヒーロー賞を獲得した荒木選手。野球教室での笑顔です。

一方の打線は1回、柴田が四球、2死後に江越も四球を選んで出ただけ。でも2回に横田がサード美間の送球エラー(受けたファーストのエルドレッドがぽろり)で出塁すると、荒木の右翼線二塁打で一塁から生還!さらに小豆畑が中前打、植田は三振に倒れ1死一、三塁となったあと柴田が右前タイムリー!今井から2点を先取しました。

4回は2死から植田の中前打だけですが、5回は柴田が中前打(ピッチャー今井の足に当たりセカンドベースをかすめてセンターへ)、緒方が初球で素晴らしい投犠打を決め、北條は左前打で続き1死一、三塁。江越が三振したボールは暴投で北條が二塁へ、森越は四球を選び2死満塁。しかし最後は横田が三振に倒れて追加点なし。6回は三者凡退、7回は2死から北條が四球、江越はサード内野安打で一、二塁としますが無得点。8回は江草の前に三者凡退。

阪神の投手陣は、14日に完封勝ちしたソフトバンク戦でパーフェクトリリーフを見せた3人が登板。桑原が6回から2イニングをパーフェクト。ついで8回は鶴が三者凡退。9回は二神が2死からエルドレッドをストレートの四球で出したものの、美間をニゴロに打ち取り試合終了です。

守り勝ったと古屋監督

では古屋監督のコメントからご紹介しましょう。「きょうは守り勝ちです。島本も初回は危なかったけど、森越が強烈な当たりを止めてくれてね」。島本投手は結構長めに投げたのでは?「3回から5回の間と言っていたんですよ。様子をみて、長くても5回までという予定でした。初回は球数も多かったが、あとはよく抑えてくれた」

これも野球教室でのショット。猪木さんばりの気合い?柴田選手です。
これも野球教室でのショット。猪木さんばりの気合い?柴田選手です。

柴田選手がタイムリーを含むマルチ、毎試合出ているわけではないけど、いい仕事をしています。「柴田の力はみんなわかってる。隙あらばと、出た試合はほとんどヒットを打っているでしょう?ランナーで出る機会が多いねえ。彼は左投手も苦にしないから使ってもいいんだけどね」と高い評価でした。

「彼らしい小気味のいいピッチング」

次に香田投手コーチ。まず島本投手については「先頭を出してランナーを気にしすぎた。バッターに集中すべきところで、ランナーにリズムを狂わされたね。ピンチでもいいのにピンチを広げてしまい、力みもあってボールが上ずっていた。2回以降は彼らしい、小気味のいいピッチングをしてくれましたよ」と及第点。

「課題にしていたこと、1軍で体が横振りになってボールが低めにいかなくなっていたこともクリアできたかな。ファームへ来てから、縦振りにしてボールが下に向かっていくように修正して(きょうは)送り出しました。体を横に振ると球が抜ける、引っ掛けるということになるけど、縦にすれば体が遅れてしっかりリリースできる。2回以降は、そういうところも取り組めていたと思います」

それから「初回に32球投げて、よくあの球数(5回76球)に抑えてくれたね。きょうは長いイニングを投げて修正するために先発をさせました。今後も打者ふた回りくらいで、いろんなことを思い出したり発見したり、ゲームの中で身につけてほしい」とのこと。次も先発で投げる見込みです。

このところ安定したリリーフを見せる桑原投手について「久しぶりにイニングを跨がせました。1イニング目が9球だったので、それだけではね。つかみかけていたので、もうひとつかみってことです。今すごくシュート、フォーク、スライダーがゾーンに行き始めています。いいボール、強いボールが。すごく楽しみです。ボールに意思が感じられますね」と絶賛。早く1軍で投げるところを見たい、という感じでした。

なお「松田はあす先発。3回くらいかな。球数にもよるけど、少なければもう少し」とのことで、松田投手本人は「メッチャ緊張する~。やばい~」と言いながら帰っていきました。顔は笑っていたので大丈夫でしょう。

投げっぷりの良さは変わらず

島本投手は、久々の先発でいきなりピンチだったねと言ったら「初回は…ちょっと。緊張はしなかったんですけどフワフワした感じで、自分のピッチングができなかった」と苦笑いです。森越選手の守備にも助けられて失点はなく、でも1死満塁となったところを振り返り「ピンチの場面で三振が取れて、そこからはよかったですね」とホッとした様子。

ズボンを膝まで上げたユニホーム姿の島本投手も久しぶりですね。
ズボンを膝まで上げたユニホーム姿の島本投手も久しぶりですね。

「スライダー、フォークでしっかり三振が取れた。それに真っすぐでファウルを取れたんでよかった。あと、課題は真っすぐのコントロールをもう少しつけないと」。1回の美馬選手はスライダー、鈴木将選手は真っすぐ、2回の中村亘選手はスライダー、上本選手はフォーク、3回の庄司選手はスライダー、5回の赤松選手はスライダー、以上6つとも空振り三振でした。

試合中は、香田コーチの話にもあった通り「横振りにならないよう1球1球、気をつけながら投げました。縦振りになるよう、それだけを考えて」もピッチングだったみたいです。そして「2回以降はよかったですね。でも僕は中継ぎなので、1イニング目をしっかり投げていかないといけない」と、1軍での自身の役割を踏まえてのコメントも。いや~大人になったというか、大きくなったというか。ピンチを迎えても堂々としたものですね。もう“シマジロウ”なんて呼べないなあ。たぶん呼びますけど(笑)

陰のヒーロー・森越

9回2死から。明らかなボール球が続いて四球を出してしまった二神投手は「ホームランで同点になるっていうフォアボール。僕の技術不足です」のひとこと。タイムリー二塁打で、この試合のヒーロー賞をもらった荒木選手も「きょうは島本です!」という言葉のみでした。

“売り”の守備で島本投手を助けた森越選手。
“売り”の守備で島本投手を助けた森越選手。
2番の仕事キッチリ。緒方選手(右)は一二三選手とペアで野球教室の指導。
2番の仕事キッチリ。緒方選手(右)は一二三選手とペアで野球教室の指導。

森越選手に「ことしは二塁打賞が変わったので、玉ねぎを獲得するには猛打賞しか」と言ったら「もう玉ねぎはいいんですって~」と笑ったあと、真顔になって「初回、エルドレッドの打球を止められたことがよかったです。捕れたら一番よかったけど。島本も立ち上がりが不安定だったので」と自らコメントしています。本当にグッジョブで、実は野球教室でもMVP並みの仕事をしているんですが、それはまた後日。

きっちり初球で犠打を成功させた緒方選手。ナイスバント!「2番なんで」。結構ありますかね、2番。「ありますよ。柴田さんが1番の時は僕が2番です」というやり取りでした。その次の7回には1死ランナーなしで、やはり初球でセーフティーを試みたものの、失敗して捕ゴロ。「狙いはよかったんですけど…場所が悪かった(苦笑)。サードの前に転がしたかったですね。でもまあトライしていくのはいいかなと思います」

「完封は最高!ピッチャーのおかげ」

2試合連続完封に笑顔がはじける小豆畑選手。
2試合連続完封に笑顔がはじける小豆畑選手。

最後は小豆畑選手です。マスクをかぶって2試合連続完封勝利、感想は?「最高ですね!初回は森越に助けられました」。島本投手の球を試合で受けるのは今季初でしたが、どうですか?「去年と比べて全然違いますね。真っすぐがもともといいのはわかっていたけど、変化球の扱いがうまくなったと思いました。右バッターのインコースに投げられたから、インコースの真っすぐも生きた」と、なんだか嬉しそうです。

小豆畑選手自身、攻撃では先取点に繋がる中前打も放ちましたが「それより完封。サイコーっすねえ。本当にピッチャーのおかげです」と目尻を思いっきり下げながらバスへ向かいました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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