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祝「ドラマ24」の50作達成!ジャンプ愛炸裂『オー・マイ・ジャンプ!』に拍手です!

碓井広義メディア文化評論家
筆者撮影

祝!「ドラマ24」の50作達成!

先週23日、ドラマ24『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』(テレビ東京系)が最終回を迎えました。

この作品は「ドラマ24」の枠における、記念すべき50作目にあたります。あらためて記憶をたどってみると、本当にいろいろな作品がありました。

2005年の『嬢王』に始まり、『湯けむりスナイパー』(09年)、『モテキ』(10年)、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(11~16年)、『まほろ駅前番外地』(13年)、『みんな!エスパーだよ!』(同)、そして『東京センチメンタル』(16年)などなど。

昨年だけでも、『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(大杉漣、遠藤憲一ほか)、『孤独のグルメ Season6』(松重豊)、『下北沢ダイハード』(古田新太ほか)といった話題作が続きました。

テレビ東京ですから、もともと他局のような予算はありません。それに深夜です。いわゆるスターさんや豪華キャストに頼るわけにはいきません。それならばということで、「深夜ならではの実験的で刺激的なドラマ」を目指したのが、この枠でした。

ゴールデンタイムでは成立しないマニアックな内容。多少は過激な表現もOK。有名俳優より個性派俳優、というか知名度に関わらず内容によりふさわしいキャスティング。大根仁さんや福田雄一さんなど気鋭の演出陣。弱点を強みに変える、いわば逆転の発想です。

それにしても50作。よくぞここまで来ました。制作陣と歴代出演者の皆さんに拍手!です。

第50作記念『オー・マイ・ジャンプ!』

第50作記念『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』は、同じ「50」ということで、今年、創刊50周年を迎える『週刊少年ジャンプ』とのコラボ企画でした。

まず物語の舞台となっていた、ドラマのタイトルと同じ名前の秘密クラブ「オー・マイ・ジャンプ!」がいいですね。店内に「少年ジャンプ」のバックナンバーや、連載漫画から生まれた単行本がずらりと並んでいる、ファンにとっては夢の隠れ家です。

また、店に集まる人々も強烈でした。「ジャンプ」にやたら詳しいマスター(斉木しげる)。「NARUTO」の格好をした智子(生駒里奈)。「アラレちゃん」と同じサロペットと帽子を愛用する美樹(佐藤仁美)。そして「聖闘士星矢」の聖衣に身を包んだ水川(寺脇康文)もいます。

そこに元愛読者で営業マンの主人公・月山(伊藤淳史)が加わり、毎回、一つの作品をめぐってエピソードが展開されたのです。

たとえば第8話では、月山が上司(ケンドーコバヤシ)から「魁!!男塾」さながらのハードな特訓を受けました。月山は「ジャンプ」が成功するまでの苦難の歴史(なにしろ後発でしたから)を知って発奮し、厳しい試練に耐えていきます。

また、第10話のテーマは「ONE PIECE(ワンピース)」でした。作者である尾田栄一郎さんが、駆け出しの頃は描いても描いても作品が掲載されないことに悩み、部屋に閉じこもって水だけ飲みながらじっと耐えていた話などを織り込んでいました。「ジャンプが好きなら、もう仲間だ」の台詞が泣かせます。

そして最終話。マスター(斉木)が、なんと100年後から来た「未来人」であることが判明します。しかもその未来社会では、漫画は「邪悪なもの」として迫害されていて、マスターは漫画を守るための助っ人を探しに来た、というのです。

メンバーはマスターと一緒に未来へと向かい、「検閲するAI」(鈴木梨央さん演じる双子姉妹)と対決します。もちろん結果は、彼らの命がけの「ジャンプ愛」による勝利でした。

超マニアックなこのドラマ。ジャンプ好きにはたまらないし、そうでない人も出演者たちの予想を超える熱演に、思わず笑って見てしまう。深夜ならではの、いやドラマ24ならではの「こだわり」と「ゆるさ」のブレンド具合が抜群でした。

「第50作」と「創刊50周年」。その強引なコラボ企画を笑いながら楽しんだわけですが、来年には創刊60周年を迎えるライバル誌『週刊少年マガジン』や『週刊少年サンデー』とのコラボも、ぜひ見てみたいものです。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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