2013年の世界パソコン出荷台数、過去最大の落ち込み 2018年まで減少が続くとの予測
米IDCが4日までにまとめた最新の調査リポートによると、2013年の世界パソコン出荷台数は、前年比9.8%減の3億1510万台にとどまった。この減少幅はIDCが先に予想していた数値よりもいくらか小さかった。だが同社が統計を取り始めて以来最悪の落ち込みであることに変わりはないという。
IDCは少なくとも2018年までの5年間はこの傾向が続き、年間出荷台数は3億台を下回る水準になると予測している。
新興国市場、たとえ回復しても横ばいに近い状態
2013年の実績を先進国市場(北米、西欧、日本)と、新興国市場(日本を除くアジア太平洋地域、中南米、中東欧、中東、アフリカ)に分けて見ると、前者が1億3330万台、後者が1億8190万台だった。
先進国は前年比7.6%減だったが、全体の大半を占める新興国は同11.3%減と、落ち込みがより激しい。
IDCによると昨年第4四半期(10〜12月)は両市場とも事前予測を小幅に上回った。だが先進国の若干の改善は、今年4月初旬の「ウィンドウズXP」のサポート終了を前にした買い替えが主な要因で、一時的なものだという。
また、新興国市場については、タブレット端末やスマートフォンなどとの競争激化や、経済成長の鈍化といった不安要素が見通しを暗くしているという。
今年の世界出荷台数は、前年比6.1%減の2億9590万台。先進国市場は同3.8%減少し、新興国市場は同7.8%減少するとの見通しだ。
IDC調査担当バイスプレジデントのローレン・ロベルデ氏によると、これまで新興国市場はその人口規模を背景にパソコンの普及が進み、世界市場を牽引していくと見られていた。
しかし現状では、景気減速や他のコンピューター機器の台頭が予想以上の影響を及ぼしているという。中期的には新興国市場は回復し、先進国市場よりも好調に推移する。だが、その成長率は過去にあったような目覚ましいものではなく、横ばいに近い状態が続くとIDCは予測している。
IDCの推計によると、2018年の世界出荷台数は、前年比0.2%減の2億9170万台。内訳は、先進国が同2.0減の1億2000万台、新興国は1.1%増の1億7170万台との予測だ。
マイクロソフトの「Surface Pro」について考える
なおIDCが定義するパソコンとは、デスクトップパソコンやノートパソコンを指し、米アップルの「アイパッド(iPad)」や米グーグルのモバイルOS(基本ソフト)「アンドロイド(Android)」搭載タブレットは含まない。
このほかIDCは、着脱式キーボードを備えるものもパソコンのカテゴリーに入れていない。例えば米マイクロソフトのタブレットPC「サーフェス・プロ(Surface Pro)」は今回の調査対象外だという。
しかし、パソコン用CPUやOSを搭載し、従来のパソコンソフトが利用できるサーフェス・プロは、やはりパソコンであり、もしIDCがこれを調査対象に入れていたら、データは変化していたのではないかと疑問が浮かぶ。
そこで、別の調査会社である米ガートナーが公表しているタブレット端末の調査結果をヒントに、概算してみた。
ガートナーによると、昨年1年間のウィンドウズ搭載タブレットの世界販売台数は403万台だった。ただしこの調査では、モバイル用CPU搭載の下位機種である「サーフェスRT」と「サーフェス2」のほかに、サーフェス・プロもここに含まれているのか否かについて言及していない。
一方で、同社はタブレットにもなる1台2役のハイブリッド型ノートパソコンの販売実績を調査しており、サーフェス・プロはこちらのカテゴリーに入っている可能性がある。このハイブリッド型ノートの昨年1年間の台数は約430万台だった。
つまりサーフェス・プロはいずれのカテゴリーに入っていても、430万台を上回ることはないと考えられる。これをIDCの調査結果と照らし合わせると、パソコン市場全体に占める比率は1.4%以下。昨年の実績に限って見れば、その影響力はさほどなく、誤差の範囲と言えるのかもしれない。
(JBpress:2014年3月6日号に掲載)