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大阪桐蔭神宮初制覇! 近畿のセンバツ枠は「7」に

森本栄浩毎日放送アナウンサー
神宮決勝で経験値の高さを見せた松尾の活躍が大阪桐蔭に優勝をもたらした(筆者撮影)

 1年生の活躍で盛り上がった神宮大会は、大阪桐蔭広陵(広島)との打撃戦を制して初優勝を果たした。神宮枠は近畿にもたらされ、来春センバツには7校が出場する。

大阪桐蔭楽勝ペースから一転、乱戦に

 試合は序盤から大阪桐蔭打線が爆発。5回表で8-0と楽勝ペースだった。しかし打線好調の広陵も、大阪桐蔭2番手の左腕・川井泰志(2年)を攻め、5回裏に打者一巡の猛攻で5点を返し、一気に乱戦模様に。取られたら取り返す。広陵が1年生4番の真鍋慧の適時二塁打で追い上げれば、大阪桐蔭は7回に、3番・松尾汐恩(2年=タイトル写真)の、この日2本目のアーチで突き放す。最後は、切り札の前田悠伍(1年)を投入した大阪桐蔭が、11-7で逃げ切った。

意外にも神宮初優勝

 春夏甲子園で計8回優勝している大阪桐蔭は、意外にも神宮大会初優勝。3年前に2度目の春夏連覇を果たした「プラチナ世代」をもってしても成しえなかった「神宮王者」の勲章を、ようやく手にした。それも、西谷浩一監督(52)が、「前のチームより力がない」と厳しく評したチームが、である。改めて、野球は適材適所の好循環が大事なチームスポーツだということを認識させられる。具体的に言えば、軸になる投手と打線のつながりだ。

決勝は5投手が継投

 決勝では5投手がマウンドに上がった。エースナンバーを背負う別所孝亮(2年)が先発して3回を無難に抑えたが、2番手の川井が8安打を浴び、川原嗣貴(2年)の救援を仰ぐことに。川原は犠飛で1点を失う(自責は川井)も、相手に傾きかけた流れを食い止めた。好機で打席が回り代打を送った関係で、6回から4番手に右腕の藤田和也(2年)を投入。真鍋の長打で1点を失って、8回からは満を持して前田がマウンドに上がった。

前田の存在で安心感

 しかし、ここまでの2戦で力投を続けてきたスーパー1年生もさすがに疲れの色は隠せない。ライバル・真鍋に打たれるなどピリッとせず、3安打2四球1失点で、最後の2イニングを投げ切った。「決勝は総力戦で」と語る西谷監督も、終盤の相手の勢いに生きた心地がしなかっただろう。それでも、前田がブルペンにいる安心感があったはずだ。それほどまでに、この1年生に対する信頼は絶大だった。投手陣全体のスケールは前チームより劣るが、頼もしい軸が確立されてゲームプランは一気に立てやすくなった。

オーダー組み換えが奏功

 近畿大会でやや低調だった打線が奮起したのも大きい。西谷監督が、「大もの打ちはいないので、つないでつないで」と言うように、神宮大会では打線が機能した。準決勝の九州国際大付(福岡)戦は、6回に本塁打を含む7本の長短打で7得点するビッグイニングを完成させた。決勝でも序盤に中軸が4連打するなど毎回の18安打。3試合のチーム打率は、.388で4本塁打と文句のつけようがない。4番で力みが目立っていた海老根優大(2年)を5番に下げ、上位打線をジグザグにしてつながりが良くなった。

捕手の松尾が攻守で牽引

 中でも出色だったのが3番を打つ捕手の松尾で、決勝での2本塁打を含め、3試合で13打数8安打4打点と打ちまくった。「自分が引っ張っていくことを意識していた」と言うように、前チームから唯一のレギュラーだった責任感も強く、攻守にわたってチームを牽引している。中学時代は遊撃手で、「ショートとしての資質もあるが、捕手としてはまだまだ勉強不足」と、西谷監督の評価は厳しい。この日も5投手のリードには悪戦苦闘していた。「どうしても楽をして抑えようとする」と指摘するのは、捕手出身の西谷監督ならではで、やはり試合全体をトータルで考えたリードを期待しているのだろう。「これから(捕手の)面白さがわかってくるはず」と、松尾の能力の高さを買って守りの要にコンバートした西谷監督は、さらなる成長を願っている。

神宮枠は近畿。当落線上のチームも強い

 さてこれで神宮枠は近畿にもたらされることが決まり、センバツには7校が出場する。もともと6枠が与えられ、「近畿優遇」という声もあるが、今夏の4強独占からもわかるように、近年の高校球界をリードしていることは明らかだ。実際に、近畿大会準々決勝で敗退した当落線上のチームもかなり強い。具体的には、京都国際東洋大姫路(兵庫)、近江(滋賀)、市和歌山の4校から3校が選ばれることになりそうだが、いずれも甲乙つけがたい。来年1月28日の選考会まで長い日々が続く。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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