一二三慎太「チョー気持ちよかった!」人生初の満塁弾《6/17 阪神ファーム》
1軍は交流戦が終わって、ペナントレース再開は20日のヤクルト戦(甲子園)となっています。そんなわけで、きょう18日に行われた鳴尾浜のウエスタン・中日戦は1軍メンバーに占拠されました。俊介選手、大和選手、新井良選手、江越選手、梅野選手、坂選手、柴田選手、荒木選手の8人がスタメン。ファームからは3番ショートの北條選手だけですね。甲子園で紅白戦でもやれば…なんて思いましたが、鳴尾浜は中日の先発も山本昌投手で、いい練習になったでしょう。
試合は取って取られての展開から8回に追いつき、北條選手の犠飛でサヨナラ勝ちしたそうです。北條選手はヒットも2本ありますね。それと江越選手がまたホームランを、しかも2本打ったとか。1本は山本昌投手からですね。1軍にいる間にポンポン打って、これで早や6本!すごいなあ。
1軍から8人も来て、そのメンバーがそこそこ入れ替わった9回に横田選手が打ち、緒方選手が死球で、北條選手のサヨナラ犠飛。よしよし、意地をみせました。という、きょう18日の試合は見に行っていないため書けなくてすみません。でも小虎が元気ですね。中日に3連勝して貯金が3に増やしています。
一二三の満塁弾でトラヴィスが勝ち
さて大変遅くなりましたが、きのう17日に行われたウエスタン・中日戦の結果とコメントをご紹介します。きょうのサヨナラにも負けない、終盤に盛り上がったゲームでした。いや終盤しか動きがなかったというべき?私は別の取材があって遅くなり、鳴尾浜には試合終了の頃を見計らって行ったのですが、まだ終わっていませんでした。それどころか阪神が追いついて、なおも満塁で一二三選手のグランドスラム!
9回裏だと思っていた私は多分、他のお客様よりも興奮していたと思います。ふと見ると打席に選手が。あれ、サヨナラ満塁ホームランじゃないの?はい、違いました。まだ8回裏。しかも9回表に追い上げられて…
そのあたりも含めて、試合経過をご覧ください。
《ウエスタン公式戦》6月17日
阪神-中日 16回戦 (鳴尾浜)
中日 000 000 203 = 5
阪神 000 000 06X = 6
◆バッテリー
【阪神】筒井-渡辺-藤原-伊藤和-○トラヴィス(1勝)-加藤-S桑原(2S) / 小豆畑
【中日】雄太(7回0/3)- ●岸本(1勝4敗)(1回) / 武山
◆本塁打 一二三1号満塁(岸本)、谷3号2ラン(桑原)
◆二塁打 友永、黒瀬2、北條
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]二:森越 (5-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .268
2]一:黒瀬 (4-4-0 / 0-0 / 0 / 0) .228
3]遊:北條 (4-3-1 / 0-0 / 0 / 0) .251
4]中:中谷 (3-0-0 / 1-1 / 0 / 1) .290
5]指:原口 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .213
〃打指:緒方 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .237
6]右:横田 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .198
7]三:陽川 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .167
8]捕:小豆畑 (4-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .203
9]左:一二三 (4-1-4 / 1-0 / 0 / 0) .137
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)
筒井 4回 62球 (2-3-1 / 0-0 / 2.72)
渡辺 1回 9球 (1-0-0 / 0-0 / 4.50)
藤原 1回 15球 (0-0-0 / 0-0 / 4.80)
伊藤和 1回 27球 (2-0-1 / 2-2 /54.00)
トラ 1回 16球 (0-0-2 / 0-0 / 0.00)
加藤 0.1回 15球 (1-0-1 / 2-1 / 1.80)
桑原 0.2回 26球 (1-0-2 / 1-1 / 3.00)
試合経過
阪神先発の筒井は1回、2回と1安打ずつ許しますが要所を締め、3回と4回は三者凡退。5回は渡辺が先頭の野本に中前打されるも小豆畑が盗塁を阻止、3人で片づけています。5回はイメージ一新、ワインドアップモーションに変えた藤原がビシッと三者凡退!阪神打線は3回に2死から黒瀬と北條の連打などで2死満塁、5回にも2死から黒瀬と北條の連打があって2死二、三塁のチャンスを作りながらホームが遠く、両チームとも6回まで無得点でした。
ゲームが動いたのは7回。2ヶ月ぶりに登板した伊藤和が、ナニータの右前打と高橋周への四球などで2死二、三塁として谷に2点タイムリーを浴びます。その裏の攻撃は三者凡退で、8回表はトラヴィスが2四球を与えながらも0点に抑えました。そして8回裏、続投の中日・雄太に対して、まず黒瀬と北條がこの試合3度目の連打!今度は黒瀬が左翼線、北條が右中間へ、ともに二塁打で素早く1点を返し雄太は降板。
代わった岸本に中谷は三振を奪われますが、代打・緒方がファースト内野安打、横田の左飛で2死となったあと陽川がストレートの四球を選んで満塁とし、小豆畑のショート内野安打で追いつきます。なおも2死満塁で、ここまでノーヒットだっで一二三がカウント1-0からの2球目、144キロの真っすぐをレフトへ!今季1号が、なんと満塁ホームランになりました。スタンドも、出迎えるベンチも大喜びでしたが、何といっても打った本人の笑顔が最高ですね。
これで試合は決まった…と思いきや、9回に登板した加藤がヒットと四球、さらにバッテリーミス(記録は小豆畑の捕逸)で無死一、三塁として野本の中犠飛を浴びました。ここで加藤から桑原に交代。その桑原が谷に2球目の変化球を打たれ、レフトへの2ラン!これで1点差となります。代打・赤坂に10球粘られて四球、2死後に友永へも四球を与えて一、二塁と苦労したものの、最後は井領を一ゴロに斬って取って試合終了です。
なお試合終了時の整列では、いつもの通り挨拶担当の植田選手が古屋監督の隣にスタンバイしていたんですが、その右隣に一二三選手が登場。「ありがとうございました!」と言って頭を下げる間も白い歯がこぼれます。終わったあと、その右手を高く掲げた古屋監督。試合後に聞くと「やっぱり、きょうは一二三でしょう。僕が呼んだんですよ」と笑顔でした。
「空振りでもいいから振っていこう!」
まずは一二三選手のコメントからご紹介します。打撃練習ではいい当たりが見られるものの、出場機会がそう多くなくて、このところ世間話くらいしかできなかった一二三選手。つかまえると「ちょっとですよ。一瞬だけですよ」と言いながらも笑顔がはじけます。久しぶりのホームランはどう?「チョー気持ちいい!」。答えは北島康介選手で来ました。「なんか、当たった感覚がなかったんですよ」。確かに、振り抜けた時ってそうなのかもしれません。
「打ったのは真っすぐです、真っすぐ。スライダーが抜けて、次は真っすぐやろな~って。空振りでもいいやと思って振りました」。そして、こちらが聞くまでもなく「人生初の満塁ホームランです!」と自己申告。そういえば昨年7月9日のサヨナラホームランも「人生初のサヨナラ打」と話していましたっけ。まあ高校時代のバッティングが半端じゃなかったとはいえ、ずっとピッチャーですからね。
当たりもよかったかと聞かれて「メッチャ久しぶりですよ。ライナー気味でしょう?打った瞬間に、絶対いったと思いました」と手応え十分の今季1号。ことしはあまり結果が出ていませんが「それを考えていたら打てなくなるので、もう絶対に振っていこうと思っていました。空振りでもいいんで、とりあえず振っていこうと」した結果です。八木打撃コーチが、左足の使い方がよくなったと分析していたとか。
自分自身が一番うれしかった一発
ホームイン後の恒例行事であるベンチ前のハイタッチで、スタンドまで音が聞こえるくらいバシバシ叩かれていましたねえ!いつも一二三選手が叩いているから仕返しとばかりに。「あれメッチャ痛いっすね!ようわかりましたわ(笑)」。と言いながら「逆やったら僕も思いっきりいきますよ」と、変わりはないらしい。それにしてもベンチのみんなが、すごく喜んでくれていたね。「はい。いや自分が一番喜んでましたよ。いったー!気持ちいいー!って」と、再び北島康介選手ばりに言って笑います。
また、この日はレフトで守備機会も多かった一二三選手。「結構飛んできましたねぇ。やばかったです」と苦笑い。最後の9回も遠藤選手のレフトファウルフライがあって、フェンス際まで行って少し体がぶつかった感じでキャッチ。ドキッとしました。一昨年の7月14日の中日戦(鳴尾浜)で同じくレフトファウルフライを追い、フェンスに突っ込んだ左足を負傷したことが思い出されて。すると一二三選手も「メッチャ…よぎった…」と言います。いや~もうケガは勘弁ですよね。
同級生たちのことを聞かれると、いつも通り「意識は特にありません。それより自分のこと」と答え、バッティングに関しても「こうしようというにはない。気持ちだけですね。積極的にいこうっていう気持ち。まだ1本打っただけなんで何も言えないですけど、打席をもらえたら結果を出したい」と話していました。人生初の1本、その感触を忘れずに続けていってください。
陽川初安打、北條4の3、黒瀬4の4
前日に実戦復帰した陽川選手が、きのう17日は2回にサードを強襲する内野安打で3打数1安打。「打席では悪くなかったです。きのう(16日)はノーヒットだけど、それなりの手応えがあったし、きょうは対応できた。慣れてきました」。内野安打には「追い込まれていたけど外を意識して、内に来た真っすぐに対応できたと思います。1打席目でああいうヒットが出て、いい流れで2本、3本といける感じだったのに(あとが続かず)もったいなかったというのはありますね」と反省も。そして「疲労はあるけど問題ない。やっと充実しているって感じはします」と、汗も泥も大歓迎の様子でした。
4打数3安打の北條選手は「内容的にはよかったです。3本目(右中間二塁打)はボールが長く見られたし、バットの出もよかったので抜けたと思います」と振り返っています。再び2割5分台に戻ってきた打率、掛布DCの要求も、自身が目指すところも2割8分ですからね。頑張りましょう!
その北條選手が「4の4ですよ~」と言っていたのが、二塁打2本を含む4打数4安打を放った黒瀬選手。「1打席目に打てたので乗っていけました。いつも最初は打てていないけど、キッチリ真っすぐをいい感じで打てたので」と振り返っています。9回も先頭での二塁打が反撃のきっかけになったのですが「(一二三)慎太が決めてくれたんで。あれがなかったら負けていましたよ」と殊勲の後輩をたたえます。ベンチ前で出迎える黒瀬選手の笑顔が、それを語っていましたもんね。
藤原“ダイナミック”正典
続いて、私は生で見られず残念でしたが、いつの間にかワインドアップモーションになっていた藤原投手です。今はもとに戻ったけれど、春先は豪快に振りかぶって我々を驚かせた筒井“ダイナミック”和也投手なみの衝撃だったそうで、本人いわく「実は10日前からなんですよ」とのこと。「リズムが悪かったし、狙う場所を作ろうと思って。何か1つリズムを作りたかった」。コントロールが安定したのでは?「大体のところへはいっていますね。目標を作って投げられました。多少、タテ振りです。自分の中では。どうせなら大胆にいこうと思って」
ちなみに三者凡退に斬って取った時、こぶしをギュッと握ったのはガッツポーズではないんですって。「あれは投げ終えた時のフォームの流れというか、締め」だそうです。ガッツポーズでもいいのにね。「いえ違います!」。わかりました。
久保投手コーチは「藤原?衣替え。クールビズ(笑)。できるだけズレないように考えながらやっています。筒井は今、順調にきているので1軍をにらみながら、何かあればすぐ送り出せるように長いイニングでなく、きょうは4回で止めました。そのあとも使いたい人たちが投げた。トラヴィスが勝ち投手でしょ?みんな必死でつないでくれた。加藤とか桑原とか、かえってプレッシャーになっていたかもね。まあ勝ったトラヴィスも、負けを覚悟した伊藤和も、育成したい要素が詰まったいいゲームだった」と締めくくっています。
順調にきていると久保コーチが話す筒井投手は、4回2安打無失点。「左バッターに対する変化球がなかなか決まらなかった。でも2巡目からフォークを投げて、変化球の使い分けがうまくできました。フォークに関してはカウントを取る時でも、勝負球でも使っています」
トラヴィスが虎で初勝利
4月16日のオリックス戦(神戸第二)に登板して以来、2ヶ月ぶりの実戦だった伊藤和投手。「試合勘が…言い訳にはしたくないんですけど、バッターに投げていくっていう練習がちょっと足りなかったかと思います。ブルペンではいい感じだったんですが、それを出せなかった。やっぱりバッターに対していくしかないですね」と表情は冴えませんでした。イメージ通りいかなかった?「全然ですねえ。まったく出せなかったですね。でもブルペンでは悪くないので、クイックとかゲームを想定した細かいところをやっていきたい」
最後は、タイガースでの初勝利となったトラヴィス投手に聞いてみました。DeNA時代の昨年、公式戦登板は1試合ながら1勝を挙げています。「それも今回みたいな感じで」の白星だったみたいですね。もらった記念のボールはどうするの?「去年のは親に渡しました。これも親に」とニコニコ。「一二三さんのおかげですね。ウエートルームへ行った時に“勝ちがつきました。ありがとうございます”ってお礼を言いました」。一二三さんは何と?「ほんまに?って」。知らなかったみたいです。
この日の試合では、1死から四球を与えた友永選手に盗塁を決められて1死二塁となり、井領選手にも四球。最後は代打・藤澤を二直で併殺という内容でした。「コントロールが苦しかったのは苦しかったですね。ランナー二塁の時にバランスとか悪かった。ただ、そういうのを知ることができてよかったです」。常に勉強、努力のトラヴィス投手。派遣先であるBCリーグ・福井へは今月28日に出発予定で「技術面がまだまだなので、福井へ向けてしっかり練習していきます!」と張り切っていました。