女芸人にとって妊娠・出産はこう変わった!
「ホンマに、ホンマに、よかったなぁ」
この1週間、関西のお笑い関係者と顔を合わすと、合言葉のように交わされるのが冒頭の会話だった。
タレント・なるみさんが妊娠6ヵ月であることが明らかになった。大々的に口外していたわけではないが、なるみさんが数年前から子供を授かるために病院にも通っていたこと、そして、結婚当初からとても仲のいいご夫婦であることは関係者の間では周知の事実。それだけに、43歳でのオメデタに喜びの輪が一気に広がった。
発表前日に本人からメール!
なるみさんとは、僕がまだデイリースポーツの記者だった20年、読売テレビ「なるトモ!」で共演させてもらってからのご縁。まさに、公私ともにお世話になってきたが、なるみさんから突然「私事ですが、ご報告」というタイトルで妊娠を伝えるメールが届いたのが8月9日。スポニチ、サンスポがなるみさんの妊娠を伝える前日のことだった。
最も近いところで宴席を共にしたのは4月30日。定期的にガダルカナル・タカさんが主催してくださる食事会でご一緒したが、その時点からお酒は一滴も飲んでいなかった。普段はしっかりと焼酎を中心にお酒をたしなむなるみさんだけにノンアルコールに違和感も覚えたが、9日に届いたメールで「実は、あの時から赤ちゃんが分かっていたから、飲んでなかってん」とタネ明かしもされた。
さらに、僕が出演している朝日放送「おはよう朝日です」で、翌朝なるみさん妊娠のニュースを報じるであろうことを伝えると「私ごときの話で申し訳ないけど、イジってもらうためのネタを言うておきます。同期の『雨上がり決死隊』にも連絡したら『欲しいもの、何でも買うたる!!』と。なので、宮迫(博之)にはとにかく、とにかく、高いもんを買ってもらう」とのこと。喜びを通り越して、胸が熱くなるようなメールだった。
取り巻く環境に変化も
女芸人さんの妊娠・出産といえば、記憶に新しいのがお笑いトリオ「森三中」の大島美幸さん。長らく不妊治療をしていたことや、カメラ付きヘルメットをかぶっての出産が大きな話題にもなった。元来、自分の言葉で多くの人に伝えるのが仕事の芸人さんだけに、その発信力は非常に高い。
「これまではいったん妊娠・出産の流れに入ると、長期間仕事を休まざるをえず、入れ替わりの激しい芸人さんの世界ではそれが“致命傷”になりかねなかった。でも、今は最短2ヵ月ほどで復帰できるし、芸人さんという身近に感じやすい人が出産や育児のことを楽しく、時に真剣に語ることに需要もある。女芸人さんにとって、妊娠・出産に対するハードルが下がっていることは間違いありません」(関西を拠点に活動する放送作家)。
実際、3月に長男・誠希千(せいきち)くんを出産したお笑いコンビ「クワバタオハラ」の小原正子さんも、仕事はフルスロットル。毎日放送ラジオ「松井愛のすこ~し愛して」で隔週月曜に共演させてもらっているが、どうしても子守の人繰りがつかない時は、現場に誠希千くんを伴って来ることも。その際は、プロデューサーさんやスタッフさん、そして僕など、その都度手が空いている人が誠希千くんをあやし、先日は、夫で元メジャーリーガーのマック鈴木さんが来て子守をする場面も見られた。また、その様子をラジオで臨場感たっぷりに話すことによって、リスナーからもたくさんのエールが届いている。
後輩たちにメッセージ
女芸人さんの草分け的存在で、今年5月に亡くなった今いくよさんは生涯独身を貫いた。しかし「ハイヒール」をはじめとする後輩たちには「これからの時代、女芸人も結婚して、子どもを育てる時代にしなアカンよ」とことあるごとにメッセージを送っていた。
いくよさんと入れ替わるように、かわいがっていたなるみさんに新しい命が宿った。何とも数奇なものも感じるが、今まで以上に、強い“手札”を持った女芸人さんたちが、より一層、おしゃべりの花を咲かせることを期待したい。