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「急激な体型変化」報じられた K-POPアイドル 韓国での反応は「心配の声」

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25日に日本でも報じられた、K-POPグループ2NE1(トゥエニィワン)の元メンバーパク・ボムの「体重増加」。

21日にフィリピンで行われた「POPSTIVAL 2022)」に出演した際の姿が韓国で大きな関心を集めているのだ。いわゆる「リバウンド」と見られる状態だ。

パク・ボムはグループ解散後2020年6月の韓国国内映画祭に一度体重増加した状態で姿を現した。その後、本人も「(周囲の反応に)衝撃を受けた」としてダイエットを決心。2021年1月には11kgの減量に成功したことが報じられていた。

韓国内外で歴史を作ったグループ

なにせ2010年代に韓国を席巻したグループのメンバーに起きている出来事だ。

2NE1は2009年から2016年まで活動。デビュー2年めの2010年には早くも「アルバムから3曲が国内音楽ランキング番組で1位獲得」という偉業を達成した。

2012年撮影。左端がパク・ボム
2012年撮影。左端がパク・ボム写真:ロイター/アフロ

2014年には韓国の歌手としては初めて米ビルボード200のチャートで100位圏内入り(61位)。またK-POPガールズグループでは初めてワールドツアーを実施した存在でもある。

韓国では「第2世代のガールズグループの象徴」としても知られ、解散後の2017年にはビルボードが選定した「最近10年で最も活躍したK-POPグループランキング」で2位となった。YGエンタテインメント所属だったゆえBLACKPINKの先輩格、ということにもなる。

2012年当時のパク・ボム
2012年当時のパク・ボム写真:ロイター/アフロ

1983年生まれのパク・ボムはメインボーカルとして活躍。独特な歌声、歌唱力、愛らしいルックス、脚線美、突飛なキャラクターなどで人気を得た。身長165cmはグループの中でも最長身だった。

そんな彼女が2020年に一度「激太り」。その後、2021年1月に体重を落とした際には本人が赤裸々に「70kgから59kgになった」と体重を公表しつつ宣言。「もう再び以前の姿には戻りたくない」と宣言していた。そこから再びリバウンド(韓国語では「ヨーヨー現象」という)が起きたと見られている。

社会的関心の理由「まずは彼女の症状について認識を」

21日のフィリピンでの姿に対し、韓国では芸能ニュースの枠を超えて多くの心配の声が挙がっている。

関連ニュースが10月25日、国内最大手のポータルサイト「NAVER」での「メディア別デイリーアクセスランキング」にて地上波「SBS」の上位5位入ったのだ。

通常、ここの上位に入ってくるのは政治・経済・社会などの話題だ。エンタメが入ってくるのは異例。最近では宮脇咲良が所属するガールズグループ、ルセラフィムのメンバーの過去のいじめ騒動が起きた際にランキング入りしたことがある。BTSのかの釜山コン(10月15)であっても、全81媒体のうち1位にまでに入ったのは3媒体のみ。当日は国民的アプリ「カカオトーク」に通信障害が起き、こちらのほうが大きな関心を集めていた。

日本に入ってくる韓国芸能界関連のニュースは、じつのところ同国内では「社会一般層までの関心」となることは少ないのだ。

そういったなかでランキング入りした記事を記したSBSは何を報じたのか。

パク・ボムが抱えているというADD、ADHDと何が違うのか。

彼女の症状として予想されるものについて知ろう。そういった趣旨の記事が関心を集めたのだ。

パク・ボムは自ら「ADD(注意欠陥障害)に苦しんできた」ことを公表している。前述した、2021年1月に一度体重を11kg落とした際にはSNSでこう発言した。

「ADDの治療で飲んでいる薬のためにダイエットが本当に大変だったんですが、それでも痩せられて、本当に気分がいいです。痩せた後に薬もかなり減らせたし、健康になっています」

また2014年には、その4年前(2010年)に韓国では禁止されている治療薬を許可なしに持ち込もうとした出来事も報じられた。

いっぽう、ADDやADHDに関する話は、韓国社会では2010年代後半から少しずつ認知され始めた。記事はこの内容を改めて紹介するものだ。

「ADDとは注意力欠乏症(Attention Deficit Disorder)の略であり、(韓国)国内ではあまり知られていない疾患だ」

またこの原稿の筆者の取材の結果として「一つのことに集中することが難しく、すぐに散漫となる。課題や活動を最後まで遂行することが難しい傾向がある」と紹介している。

韓国の今回のパク・ボム関連の報道では「治療薬の服用の段階で食欲が止まらず、体重増につながっているのではないか」という見方が多数だ。健康状態を心配する声も多い。

いっぽう所属事務所のD-Nation Entertainmentは「活動を休んでいる時間が長くなり、太ってしまった状態。健康に問題はない」としている。

左端がパク・ボム。2012年撮影
左端がパク・ボム。2012年撮影写真:ロイター/アフロ

真相は果たして?

「韓国経済新聞」は2021年1月4日、一度パク・ボムが11kg体重を落とした状態で公の場に登場した際に、担当のダイエットトレーナーを取材。こういったコメントを掲載している。

「スーパジュニアのシンドン、イ・ヨンヒョン、ホ・ガクなどの多くのダイエットを管理してきたが、パク・ボムが最も管理が難しいケースだった」

「管理過程で感情の起伏が激しく、中断することも1度や2度ではなかった。食欲のコントロールが難しく、食べものの選択にも困難が多かった」

また、最近では10月24日に元スポーツ朝鮮などの芸能記者イ・ジノ氏がYouTubeでパク・ボムの近況について「やはり健康状態が芳しくなく、ADDの薬の副作用に悩んでいる状態」と語った。合わせて、かつての所属事務所YGの関係者が「体重コントロールが非常に難しい状態」と言及していた点も明らかにしている。

フィリピンでのライブ映像をアップしたYouTubeのコメント欄には、こういったコメントも寄せられている。

「英語でのコメントが厳しく、本人が傷つくと思うのであえて韓国語で書く。彼女が年齢を重ねてきているのは確かだし、何より歌手はまず歌声で評価されるべきだと思う」

この他にも「スポーツ京郷」が「健康状態、精神状態ともに危険」と報じるなど、韓国では心配する声が大多数だ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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