この冬の寒さ予想 世界はどう見てる?
台風が去って、寒気が流れ込む
10月になった途端に汗ばむ陽気が一転、冬を思わせる天気に。7日の東京の日最高気温は13.3度と10月上旬としては1934年10月7日(12.1度)以来、88年ぶりの寒さとなりました。
急に寒くなった原因としては、少し前から北極周辺を流れるジェット気流の蛇行が大きくなっていて、ユーラシア大陸中部にあった寒気が日本付近に流れ込んだこと。さらに、台風の発生が収まったことで、これまで強かったチベット高気圧が後退した影響があると思います。
ラニーニャ継続80%
この冬の日本はラニーニャ現象の影響で、全国的に気温が低くなる予想ですが、世界はどう見ているのでしょう?
米海洋大気庁(NOAA)はラニーニャ現象が年明け(1月)まで続く可能性が80%として、影響を注視しています。
ラニーニャ現象時はジェット気流が北太平洋の北側を流れるため、北西部は気温が低く、南部は気温が高くなる傾向があります。
成層圏の突然昇温で寒波も
ウクライナ危機に端を発したエネルギー問題に揺れる欧州はどうでしょう。
英気象庁(Met Office)は年末にかけて、極端な寒さというよりも、比較的穏やかな天候が見込まれるとしています。
しかし、成層圏の突然昇温により極渦が分裂した場合は強烈な寒波に襲われる可能性がある。また、ラニーニャ現象など世界的な気象パターンにも左右されるため、厳しい天候がいつ発生するか、特定できないが気をつける必要があるとしています。
長期的な見通しは通常の天気予報とは異なり、気象学の最先端の分野です。天候が交通、エネルギー、健康など社会に与える影響が年々、強まっていることから、欧米の気象機関が特に力を入れています。日本でも今年2月から、新しい大気海洋結合モデルの運用が始まりました。先のことは分からないから分かるへ、季節予報はおもしろい分野だと思います。
【参考資料】
米海洋大気庁(NOAA):September 2022 La Niña update: it’s Q & A time、SEPTEMBER 8, 2022
英気象庁(Met Office):What can we say about the weather this Winter? 6 October, 2022
ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF):Forecast charts and data
気象庁:新しい大気海洋結合モデルを利用した季節予報の精度向上、2022年2月9日