肉体改造で進化した亀田和毅の挑戦!
亀田兄弟の三男元WBO世界バンタム級王者の亀田和毅(27)が、スペインのアビゲイル・メディナ(30)と11月12日に WBC世界スーパーバンタム級暫定王座戦が行われる。このタイトルはWBC世界同級王者のレイ・バルガス(メキシコ)の負傷により設置された暫定戦である。先日メディアの取材で初めて和毅をインタビューしたが、3年ぶりの世界戦とあって気持ちも高まっているようだった。17歳でプロデビューしてもう10年の月日が経った。亀田兄弟の三男として注目を浴び、時には言動や行動によって大きな批判にさらされることもあった。私は和毅とは初めて会ったが、メディアでのイメージとは違い非常に真面目でボクシングに対してストイックな印象を持った。
海外を主戦場として戦ってきた豊富なキャリア
和毅は海外を主戦場にして戦っていた。キャリアとしてはもうベテランの域に入る。プロで10年ぐらいのキャリアとなると、試合に向けての調整は、自分のスタイルができ上がっている。今回はそれに加えてフィジカル専門のトレーナーをつけて肉体改造にも成功したようだ。言葉の中からも自信に満ち溢れる発言が聞かれたのは頼もしかった。彼の試合は今年の5月に後楽園ホールで観た事があるが、バランスが良く、スピードもある。余計なパンチももらわないし非常に穴が無いボクサーに見えた。ただひとつスピード重視なのか一発が軽く少し物足りなさを感じたのも事実だ。トップクラスのボクサーだが、あと一つ足りない、惜しいボクサーだと思った。
前回の試合からフィジカルトレーニングを取り入れて、肉体改造をしてきており、その効果をかなり体感しているようだった。ボクサーのトレーニングをひとつ変えただけで、そんなに変わるのか?と思われがちだがトレーニングの影響で見違えるように変わるケースもあるのだ。
ボクサーとフィジカルトレーニング
少し前の時代まではボクサーにフィジカルトレーニングはタブーとされていた。
余計な筋肉がつくからとウエイトを使ったトレーニングは良く無いとされ、腹筋や背筋、懸垂など器具を使わない補強がメインだった。
しかし、時代の進化ともに他の競技から少し遅れてボクシング界にもフィジカルトレーニングが取り入れ始められてきた。
私も現役時代にフィジカルトレーニングを取り入れてきた。正直、最初はウェイトを使ったトレーニングなんて、と思っていたが、取り入れるにつれて体つきも変わりパフォーマンスが向上していった。
パンチは下半身で打つ
ウエイトを使ったトレーニングというと重りを使って上半身を鍛えるように思われるが実際は違う。パンチは上半身で打っているのでは無く下半身や体幹の力を上半身に伝えて打っている。そのためメインとなるのは下半身や体幹の強化だ。
重りを持っての下半身のスクワットや不安定なバランスで体を動かしていくトレーニングなどで体幹を鍛えていった。そうする事でどんな状態でも強いパンチが打てるようになる。また相手との押し合いでも負けなくなった。そのため、トレーニングの影響は大きい。
今回のトレーニングのおかげでスピードを維持してパンチ力の向上に成功したようだ。またフィジカルトレーニングを取り入れることでバランスが安定して重心の位置も変わったようだ。重心が安定すると強いパンチが打てる。これなどは中々ボクシングのトレーニングだけで培うのは難しい。現在はボクサーもボクシング以外のトレーニングを取り入れるのが当たり前の時代になっている。亀田家というと独自の練習が目についたが、最先端のトレーニングを取り入れることで進化したようだった。
ストレッチに1日4時間
また和毅は非常にマメで真面目な選手だ。怪我をしないようにと1日にストレッチを朝晩の練習前、練習後合わせて1日トータルで4時間しているとのことだった。なかなかここまでできる意識が高い選手は他にはいない。年齢も重ねプロとして10年。若い時と回復力も違うし怪我のリスクも高まる。これからも活躍するためにケアには人一倍気を使っているようだ。あのメイウェザーも一見派手に見えるが、人一倍練習していて真面目な選手だと言われている。
将来的には井上尚弥ともやりたい
試合に向けての調整もうまくいっていってるようで、練習でもスパーリングでパートナーを倒していると頼もしい話も聞いた。この階級は日本人の国内のライバルも多く、ひとつ下の階級にはWBSSトーナメントに出場中の井上尚弥もいる。インタビューの中では、「日本で一番強いのは井上選手。対戦したら絶対盛り上がるしやりたい」と頼もしい言葉も聞けた。チャンピオンになる目標の先も見据えているようで、そのためにも今回の試合に賭ける意気込みが伝わった。亀田和毅がベルトを獲ればその後の展開も非常に楽しみになる。私も会場に試合を観に行くので進化した亀田和毅の試合が楽しみである。