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山下裕史は、ハカを踊った日本代表選手。「一緒になって言いたいこと言う」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
タックルとスクラムで光る。(写真:アフロ)

 4年に1度のワールドカップ日本大会を見据えるラグビー日本代表は11月3日、東京・味の素スタジアムでオールブラックスことニュージーランド代表と戦う。世界ランク1位の強豪に挑む。

 オールブラックスと言えばハカが有名。戦意発揚のため試合前に踊る、現地マオリ人の伝統的なダンスだ。10月26日、神奈川・日産スタジアムでのオーストラリア代表戦でも披露され、4万人超のファンが沸いた。

 日本代表も当日、試合前はハカと対峙する。2013年11月2日に東京・秩父宮ラグビー場で対戦(6-54で敗戦)した際は、その数か月前からミーティングの冒頭でハカの映像を流していたという。

 プレーと同時に注目されるワンシーンに、どう対峙するか。直近でハカを踊ったことのある数少ない日本人選手、山下裕史が私見を明かした。

 神戸製鋼所属の山下は2016年、国際リーグのスーパーラグビーに加盟するチーフスに在籍。同年6月にニュージーランド遠征中のウェールズ代表(ウェールズXV)と対戦した際、ハカを披露している。

 2015年のワールドカップイングランド大会で歴史的3勝を挙げた身長183センチ、体重122キロの右プロップで、現在32歳。今秋は約3年ぶりの代表復帰を果たしていた。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ体制下では初の代表入りだ。

 10月26日には大阪・東花園ラグビー場での世界選抜戦に先発(28―31で敗戦)。40分間、プレーした後、経験者としてのチームへのアプローチと今後の意気込み、さらにオールブラックス戦当日のハカについて語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――久しぶりに加わった日本代表は、どう映っていますか。

「自分たちでやるという部分にジェイミーから言われてやる部分を重ねてできていると思います。

 いままでずっとテレビで見ていた日本代表の一員になったことは嬉しいです。今後も呼んでもらえるようにしたいです。このツアーの先にはサンウルブズ(スーパーラグビーの日本チーム)やワールドカップのメンバー入りもかかって来る。僕はひとつひとつ、満足せずに、上を目指して、競争に入っていけるようにやっていきたいです。何も確約されてないんで」

――2015年の経験者がこのタイミングで復帰。グラウンド外での貢献も求められそうです。

「そう、なんですかね。コミュニケーションは多く取ろうと思っています。今回、ひと試合やって課題も出ましたけど、テクニックを教えられるキャラじゃないので、いい雰囲気だけは作れるようにしたいと思います」

――具体的に、どんなことをしますか。

「どうなんですかね。一緒に喋って、一緒にご飯食べて、言いたいことを言っていったらいいんじゃないですかね! なるべく一緒にいるというのが重要だと思います!」

――改めて、来週の話も伺います。オールブラックス戦と言えば、試合前のハカがあります。いかがですか。

「ニヤニヤして見たいと思います。あれも、大変ですよね。(自分たちは)見ないといけないんで。あそこでちょっとアドバンテージも受けるので、そこをどう(プラスに)もっていくか。ハカがあるからってビビッてもうたらいけないので、『またやってるわ』くらいの感じで見るのが一番かと思います」

――実際に踊ってみて気づいたこと、感じたことなどはあるのでしょうか。

「僕らはロッカーで気持ちを入れていきますけど、ハカをする人らはグラウンドでエナジーを入れられて会場の空気を変えられる。そこは、強みなのかなと思います。しかも日本はミーハーなので、ハカがあったら盛り上がるじゃないですか。ただ、日本代表がそうなるのはいいことじゃない。まぁ、知った顔も出ると思うので、ちゃんと踊れているか見ておきます」

 どうやら、悠然と構えるのが肝のようだ。山下は次戦に出場すれば、代表戦出場を意味するキャップ数を50の大台に乗せられる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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