Yahoo!ニュース

台風11号が発生する予想、日本付近への直接の影響はなさそう

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
熱帯低気圧の雲(ウェザーマップ)

あす16日(水)までに台風11号が発生へ

熱帯低気圧の予報円(ウェザーマップ)
熱帯低気圧の予報円(ウェザーマップ)

最新の熱帯低気圧や台風情報(気象庁発表)

気象庁からきょう15日(火)午後4時過ぎ、フィリピン付近に発生している熱帯低気圧があす16日(水)午後3時までに台風へ変わる見込みとの情報が発表されました。

これは台風へ発達する熱帯低気圧の予報を延長する初めてのパターンとなります。

簡単に言えば、これまでは台風が発生してからでないと、5日間の予報円も発表されなかったのですが、今後は台風へ変わる見込みの熱帯低気圧に対してその時点で5日間の予報円が発表されることになります。

なお、この熱帯低気圧の他、すぐに台風になりそうな熱帯擾乱は見当たりませんので、発生すれば台風11号ということになりますが、予報円にもある通り、発生後もほぼ西寄りに進み、週末にかけてベトナムからタイ方面へ進む見込みで、日本付近への直接的な影響はほとんどないものと思われます。

遅い台風11号の発生へ

今年の台風は過去何番目に遅い発生?(筆者作成)
今年の台風は過去何番目に遅い発生?(筆者作成)

今年は台風1号の発生が5月にずれ込み、7月には統計史上初めて台風の発生がゼロとなるなど、7月まではわずか2個の台風しか発生していませんでした。

ところが8月に入った途端、次々と多くの台風が発生し、9月に入ってからも早々に一時特別警報級と騒がれた台風10号が発生しました。

そこで台風の統計がある1951年から今年(2020年)までの70年間で、台風1号から台風10号までの発生した日時が、それぞれが過去何番目に遅い発生だったのかをまとめたものが上図です。

台風1号が発生したのは過去8番目に遅かったものの、台風2号の発生は過去14番目の遅さとなりました。ところが8月までずれ込んだ台風3号の発生は一転して過去2番目に遅いものとなりました。

ただその後は次々と発生したため、それぞれ過去7番前後に遅い発生というところで推移しています。

しかし台風10号の発生(9月1日21時)からほぼ2週間、新たな台風が発生していなかったため、次に発生する台風11号は再びかなり遅い発生となります。

台風11号の遅い発生記録は以下の通りです。

1位1998年10月15日09時

2位1983年09月29日09時

3位1969年09月20日15時

4位1975年09月16日15時

5位2010年09月15日21時

6位1977年09月14日21時

気象庁によると、今後発生が予想される新たな台風11号は、あす16日(水)15時までに発生が見込まれていますので、4位の記録より早いか遅いか微妙なところではありますが、きょう21時までに発生しなければ、過去4番目あるいは5番目に遅い発生ということになるでしょう。

新たに発生が予想される台風11号は日本付近への直接の影響はなさそうですが、先日気象庁からも発表があったように、現在ラニーニャ現象が発生してフィリピン周辺の海水温が高いため、これから10月にかけて、再び多くの台風が発生する可能性もあります。

台風シーズンはまだまだ続きますので、ご注意下さい。

参考:デジタル台風

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

杉江勇次の最近の記事