『台風に発達する熱帯低気圧の予報を延長します』これはどういうこと?
台風に発達する熱帯低気圧の予報を延長します
8月以降、次々と多くの台風が発生し、非常に強い勢力となった台風10号では九州を中心に大きな被害も発生しました。
この台風情報に関して、9月7日、気象庁より、以下の報道発表がありました。
簡単に言えば、これまで台風に発達するとみられる熱帯低気圧が発生していたとしても、台風が発生してからでないと、5日先までの予報円(進路予想)は発表されませんでしたが、今回、台風に発達するとみられる熱帯低気圧が発生した時点で、もう5日先までの予報円(進路予想)が発表されるようになります。
これまでより早めに台風の進路情報などを仕入れることが出来るようになった結果、防災上、非常に有意義なものになるのではないかと思われます。
では実際、先日の台風10号が発生する時点での状況で確認してみたいと思います。
台風10号の場合
特別警報級と騒がれた台風10号でしたが、気象庁からこの熱帯低気圧が24時間以内に台風(10号)に発達する見込みとの情報が最初に出されたのは、上記通番1の8月31日15時となります。
この時点では、24時間後の予報円だけが発表されており、その後、この情報が3時間ごとに更新され、結局、通番2~通番10に至る9月1日18時まで同じような情報が発表され続けました。
そして通番11に至った9月1日21時になってようやく台風10号が発生し、この時点で5日先までの予報円が発表されるということになっています。
ところがきょうから始まった新たな情報発表では、通番1の8月31日15時の発表段階で、もう5日後までの予報円が出されるということですから、この段階で、9月5日15時までの予報円が発表されているということになります。
これまで通番1の段階ではまだ発生した台風はどこへ向かうのか、ほとんど分からない状態でしたが、今回始まった新たな情報では、この通番1の段階で、すでに9月5日には勢力をかなり強めて西日本の南海上まで進んでくるという予報が見えますので、防災上、早めに台風対策を検討することが出来るようになる他、台風がやってくるかもしれないという早めの意識づけも出来るようになるでしょう。
初めの熱帯低気圧情報から台風へ発達するまでの時間
今年の台風は、きょう現在で、10個発生していますが、気象庁が最初に熱帯低気圧が台風へ変わるとの情報を発表してから実際に台風が発生するまでの時間を調べてみました。
(最初に情報が発表された日時、台風が発生した日時、それまでの時間)
台風1号(5月11日21時、5月12日21時、24時間)
台風2号(6月11日21時、6月12日21時、24時間)
台風3号(7月31日09時、8月01日15時、30時間)
台風4号(8月01日09時、8月01日21時、12時間)
台風5号(8月08日03時、8月09日03時、24時間)
台風6号(8月10日03時、8月10日12時、09時間)
台風7号(8月17日21時、8月18日09時、12時間)
台風8号(8月21日21時、8月22日09時、12時間)
台風9号(8月28日03時、8月28日15時、12時間)
台風10号(8月31日15時、9月01日21時、30時間)
上記のように、早ければ台風6号のように9時間程度の差ですが、台風3号や台風10号では30時間に及んでおり、過去には最初の発表から2日以上経って、ようやく台風へ変わる例もあります。
今回、台風へ変わる情報が発表された時点で、もう予報円(進路予想)が発表されることになったのは、これら過去の例からみても、非常に有益かつ有意義だということが言えるかと思います。