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ロシア軍少将が犠牲となったシリア南東部でのイスラーム国による爆破攻撃の瞬間を捉えた映像が拡散される

青山弘之東京外国語大学 教授
RT、2020年8月21日

アアマーク通信発表

イスラーム国に近いアアマーク通信は8月20日、シリア南東部での爆発でロシア軍将兵4人が死傷した事件への関与を認める記事を、テレグラムを通じて配信した。

「ロシアの上級士官と「国防隊」民兵の司令官をヒムス砂漠に仕掛けた爆弾で殺害した」と題された声明の内容は以下の通り。

シリア・ヒムス・アアマーク通信:ロシア軍の士官と親シリア軍民兵の司令官が一昨日(8月18日)、ヒムス県東部で彼らに対して仕掛けられた爆弾の爆発によって殺害された。

アアマーク通信の複数の情報筋が述べたところによると、ロシア軍パトロール部隊はイスラーム国の戦闘員が「スフナ市」の東に敷設した地雷原に入り、彼らに対して仕掛けられていた爆弾の爆発によって、少将1人が殺害され、複数が負傷した。

同情報筋はまた、「国防隊」民兵の司令官1人も護衛多数とともに殺害され、また多数が負傷した。彼らが乗っていた車輌に仕掛けられていた爆弾の爆発によるもので、ロシア軍士官が殺害されたのと同じ地域で行われたものである。

2020年8月20日

Elokab.com、2020年8月20日
Elokab.com、2020年8月20日

ロシア国防省発表

ロシア国防省は18日の声明で、ロシア軍の車列が同日、ダイル・ザウル市の郊外15キロの地域での人道支援活動を終え、市内の駐屯地に帰着する途上で、街道に仕掛けられていた爆弾の爆発に巻き込まれ、少将1人が死亡、兵士3人が負傷したと発表していた。

LiveuaMap、2020年8月21日
LiveuaMap、2020年8月21日

イスラーム国のメンバーが事件に実際に関与していたどうかを確認する術はないが、アアマーク通信の記事は、彼らが攻撃を自らの戦果だと主張していることを示すものである。ただし、犯行現場は、アアマーク通信がヒムス県スフナ市の東としているのに対して、ロシア国防省はダイル・ザウル市の郊外15キロの地域からの帰還途中としており、若干の食い違いが見られる。

なお、記事にある国防隊とは、シリア軍を支援する民兵のこと。

犯行現場の映像がリークされる

一方、SNSでは8月21日、ロシア軍将兵4人が死傷した爆発の瞬間を撮影したとされる映像が拡散された。

映像は、車列に参加していたシリア軍部隊の兵士が撮影し、リークしたものと思われ、シリア軍、国防隊、そしてロシア軍の将兵や車輌が多数写っている。

ロシア軍の爆撃

英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が8月21日、イスラーム国が潜伏活動を続けるヒムス県東部とスワイダー県南部に対して爆撃を行った。

爆撃に参加した戦闘機は7機で、スワイダー県南部に対する爆撃は、ザルフ・ダム近くにイスラーム国が仕掛けたと思われる地雷の爆発でシリア軍兵士3人が死亡、3人が負傷したことを受けたものだという。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)

東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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