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Appleのリア充向けイヤホン特許について

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
SCA Svenska Cellulosa Aktiebolaget

6月2日に、Appleが” Earphones with cable orientation sensors”という米国特許を取得しました(単なる公開ではなく権利化です)。特許番号は9,049,508です(まだ、Google Patent Searchに載っていないのでUSPTOサイトへのリンクを貼りました)。

特許技術の主な目的はステレオイヤホンを片方ずつ2人で聴いている状態を検知して自動的にステレオモードからモノラルモードに切り替えるというものです。左右でまったく異なる音を再生するようにするという利用パターンも記載されていますが、現実にはあまり使い道はないと思います。

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検知方法としてイヤホンのケーブルが左右に分かれる部分の角度を圧力センサー等で計測し、左右に引っ張られている状態になっていれば2人で聴いていると判断する例が挙げられており、権利化もされています。

自分はあまりないですが、外でイヤホンで音楽を聴いていて、その曲を隣にいる人と一緒に聴きたくなったというリア充的シチュエーションでは有効かもしれません。ただ、真のリア充の人でもそういうシチュエーションがそれほど頻繁にあるとも思えませんし、ステレオのままでも一応音楽は楽しめますし、どうしてもモノラルにしたければ別途手動で切り替えるスイッチを用意しておけば済む話なので、これだけではそれほど価値がある特許ではないという気がします(分割出願が別の観点で権利化される可能性もありますが)。

追記:特許図面に使用例があればおもしろかったのですが残念ながらありませんでした。代わりに使用イメージにぴったりのフリー素材(Creative Commons)があったので貼っておきますね。しかし、真のリア充で相手と密着しているとイヤホンのY字部分が引っ張られないのでセンサーが検知できないのではないかという気もします。

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弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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