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棋士編入試験の受験資格を獲得した小山怜央さん(29)アマとして史上3人目、朝日杯一次予選突破!

松本博文将棋ライター

 9月13日。東京・将棋会館において第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選決勝、井出隼平五段(31歳)-小山怜央アマ(29歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 14時、小山さん先手で対局は始まりました。井出五段は四間飛車に振ったあと、角交換を経て向かい飛車にスイッチ。中盤の難しい戦いで、互いに40分の持ち時間を使い切ります。

 終盤、井出玉近くの攻防で、桂の打ち合いが繰り返されました。互いに手を変えることはできず、15時55分、130手で千日手が成立しました。

小山「序盤から中盤に差しかかるあたりは作戦勝ちで進んでて。そのまま終盤戦に持ち込むことができたんですけれど。ちょっと終盤、勝ちを読みきれずに、千日手にしてしまったというところです。せっかくよくできたのに、ちょっとすごく残念な気持ちでした」

 先後が替わって16時10分、井出五段先手で指し直し局が始まります。持ち時間はなく、最初から1手60秒未満で指す設定です。

 井出五段は続けて四間飛車。小山さんが居飛車穴熊に組もうとしたところで戦機をとらえ、上部から攻めました。

 井出五段がリードして迎えた終盤。小山さんは辛抱してチャンスを待ちます。秒読みが続く中、井出五段に緩手が出たか、寄せ合いの速度が逆転。小山玉の遠さが活きる展開となり、17時7分、104手で小山さんの勝ちとなりました。

小山「以前の朝日杯(2017年一次予選1回戦)のときに、佐々木大地先生(現七段)と実は持将棋をやったことがあって。それで指し直し局で思いっきり崩れてしまったので。ちょっと冷静に序盤から一分を使っていこうという気持ちで指してまして。それでちょっと終盤、幸運にもチャンスが来たので、そこでうまく勝ち切ることができました」

 小山さんは強敵を連破して、一次予選を通過。アマチュアとしては清水上徹さん(2009年)、森下裕也さん(2015年)に続いて3人目の快挙となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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