7割近くは「夫婦で名字が異なる場合、その子供にマイナスの影響がある」と懸念を持つ
内閣府は2022年3月、「家族の法制に関する世論調査」(※)の結果を発表した。それによると、夫婦は同じ名字を名乗らねばならない現行法体制に関し、「現行法維持派」は3割近く、「旧姓選択可能に法律変更派」も3割近く、そして「通称選択可能に法律変更派」は4割強を示している。
仮に旧姓選択が可能となるように法律が変更された場合、「名字が異なる夫婦の間にある子供」に何らかの影響が生じる可能性がある。各回答者の予想・想定の枠を超えたものではないが、全体では69.0%が好ましくない=悪い影響がありうると答えている。それに対し影響はないだろうとの意見は30.3%。
具体的な「好ましくない影響」について今設問では設定されていないが(別設問で尋ねられている)、7割近くの人は悪い影響があると考えている。男女別ではほとんど差はないが、結婚状態別では未婚で同居パートナーあり(いわゆる内縁状態)にある人の「影響はない」とする値が大変目立って見える形に見える。あるいは回答時点ですでに子供がいて、実体験として問題なしと判断しているのかもしれない。
また、経年別変化を見ても大きな動きはになく、悪影響が生じると考える人が多数を占めていることが確認できる。あえていえば直近年で増加の動きを見せたように見える。
子供の希望により夫婦が別姓化の選択を望む状況は考えにくい。多分に夫婦側の希望で行われうる。だが、夫婦の望みが子供にマイナスを与える可能性があるのなら…と、別姓を望む夫婦においては(現行では法律上は不可能で、いわゆる「内縁の夫婦」の手法を用いねばならない)、子供を起因とするジレンマを抱えているのかもしれない。
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※家族の法制に関する世論調査
日本全国の18歳以上の日本国籍を持つ人の中から層化2段無作為抽出法によって選んだ5000人を対象に、2021年12月2日から2022年1月9日にかけて、郵送法によって行われたもので、有効回答数は2884人。男女比は1360対1524、年齢階層比は18~29歳が323人、30代324人、40代477人、50代458人、60代502人、70歳以上800人。過去の調査も同様の様式だが、2021年12月調査分までは20歳以上を対象としている。
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